材料が外力の負荷により,大きな永久ひずみを生じることなく破壊する現象をいうが,広義には特定の原因によって延性が欠如した状態をいう.鉄などの体心立方金属で生じる低温脆性はその典型であるが,鋼の延性が300℃付近で低下する青熱脆性,金属中に吸収された水素により延性の低下が生じたりき裂が生成する水素脆性,高温時効による不純物元素の粒界偏析により生じる焼もどし脆性などもある.こうした脆性は引張試験での延性低下,切欠靭性試験での吸収エネルギーの低下や遷移温度の上昇として知ることができる.