すべり面

slip plane

 結晶がせん断応力を受けてすべり変位を生じるような特定の結晶学的面をいう.塑性変形はこの面上を転位が特定の結晶学的方向(すべり方向)に移動することにより生じる.すべり面とすべり方向は対になってすべり系を構成し,これは,例えば面心立方結晶における\(\left\{ {111} \right\}\left\langle {1\bar 10} \right\rangle \)のように結晶構造により定まっている.これらの面と方向の組の大部分は原子配列における最ちゅう密面と最ちゅう密方向に一致している.単結晶のすべりあるいは多結晶金属の疲労における突出しのように,すべり面上に新生面が生じることを,すべり面分離という.