材料の変形特性,強度などの諸性質を必要な環境下で調べるとともに,機械や構造物に加わる外力が,それを構成する各部材にどのような作用を及ぼすか,特に部材内にどのような力や変形が生じるかを理論および実験の両面から調べる.また部材内の力や変形が機械,構造物の健全性や安定性にどのような効果をもたらすかを明らかにし,さらにそれらを総合して機械や構造物の設計を最も合理的かつ経済的に行おうとするための科学である.材料力学は基礎工学の主要な柱となる学問である.材料力学を固体力学とりわけ弾性論と区別して用いる場合がある.前者は部材の形状と外力の作用形態によって異なるが,おのおのに対して有用な歴史的成果を整理,抜すいしたものであり,後者は数理的体系を立脚した力学である.前者は材料力学の狭い定義である.またstrength of materialsは,単語の意味から材料の強度と狭い意味にとられ,事実以前は材料強弱学と訳されていた.このような解釈をさけるため,strength of materialsの代わりにmechanics of materialsないしmechanics of deformable bodiesを用いる場合も少なくない.