対象構造の寸法・形状などの幾何学的性状,使用材料の力学的性質および構造支持の状況が既知であるとき,構造に作用する外力や構造の置かれた環境に関して,固体の力学に基づいて構造に生じる変形および構造内に発生する応力もしくはひずみを解析する力学体系.構造力学とは骨組構造に関する力学であるとの印象が残るが,各種の組立構造を含む一体の連続体に関する力学である.連続体では材料の構成則,応力の釣合いおよび変形の適合条件が境界条件を含めて満たされていなければならない.材料の構成則により弾性学,塑性学,粘弾性学などが用いられ,連続体に慣性力が関与するか否かで動力学または静力学に分かれる.構造力学の非線形問題の一つに構造安定,不安定の判別がある.構造力学の解析は,かつては構造挙動を記述する微分方程式の解析解または数値解によっていた.しかし,最近では有限要素法などの数値解析技術により,微小変形で均質等方性材料ばかりでなく大変形で非均質異方性材料の構造解析まで可能となっている.