構造物,部材が耐え得る限界の荷重を基準として当該構造の設計強さ,設計応力を定める設計法.通常,限界の荷重を定める状態として塑性崩壊を用いるが,このほか,座屈,塑性あるいはクリープによる不安定変形の発生などを用いる場合もある.塑性崩壊を基準とする場合を例にとると,構造に降伏が発生した当初,荷重増分に対応して生じる変形増分は弾性変形時とあまり変わらない.荷重が増加するにつれ,降伏域が広がり応力再分布が生じながら次第に変形増加が大きくなるが,加工硬化材料では荷重増分と変形増分の間に常に一対一対応が存在している.すなわち,降伏発生後も構造はそれ以上の荷重を負担する能力を持っている.極限設計は,この荷重負担能力を利用してより合理的な設計を行おうとするものである.ここで,構造が完全弾塑性材料でできているとすると,変形が著しく大きくなる最終状態で荷重増分と変形増分の一対一対応が成立しなくなる.この荷重が崩壊荷重であり,極限設計の限界荷重として用いる.例えば,圧力容器の解析による設計で,一次曲げ応力の制限値を一次一般膜応力の制限値の1.5倍とするのは,長方形断面のはりの崩壊応力が降伏応力の1.5倍である事実に基づき,極限設計を適用したものである.【塑性設計】