空間に設けた座標系に関し,物体の各点の応力テンソルを座標の関数として定めることができれば,それは応力場となる.応力分布とは,広義にはこの応力場のことをさす.しかし,物体の特定の領域,例えば注目する断面上や点のまわりでの応力テンソルの変動様式に着目して応力分布ということもある.応力成分は一般に連続的あるいは不連続的に変化し有限値をとるが,き裂先端のように無限大となることもある.このような応力分布を数学的に表現したとき,無限大の応力値を与える項を応力分布の特異項という.