アコースチックエミッション

acoustic emission(AE)

 材料内で割れなどの微視破壊や変形が発生すると,弾性波が放射される.この現象をアコースチックエミッション(AE)という.AEは原理的には地震と同様であり,材料内における過渡的な不連続現象に伴うステップ状の弾性波放出現象である.AEが地震と異なる点は,弾性波の周波数帯域である.地震が数kHz程度の低周波数帯域であるのに対し,AEは数MHz程度の周波数帯を有する.また,その弾性波を検出し信号を解析することにより,微視破壊を動的に評価する方法をAE法という.AE信号は,材料表面に取付けた,圧電素子からなるAE変換子により計測される.材料試験におけるAE計測は,まず材料に負荷を与え,割れや変形に伴う弾性波を検出し,さらに増幅などの信号処理を行い,その発生位置,発生数,信号強度などを解析することで,変形や破壊現象に対応させるものである.近年,AE原波形解析法と称して,微視破壊を定量的に評価する手法が提案されており,微視破壊の大きさ,生成時間,破壊モードなどが定量的に評価されるようになってきた.また,割れの発生をリアルタイムで検出し評価できるため,構造物の非破壊検査から工具の摩耗・損傷および加工条件のモニタ,プロセスコントロール,材料や部品のスクリーニングをはじめとして,部材の寿命,余寿命の評価や材料物性の研究など,幅広い分野に応用されている.