製造物責任

product liability

 欠陥製品によりメーカなどが負う賠償責任をいう.1995年7月1日より施行された民法の特別法である製造物責任法(PL法)では「製造業者等は,その製造,加工,輸入または(中略)氏名等の表示をした製造物であって,その引き渡したものの欠陥により他人の生命,身体または財産を侵害したときは,これによって生じた損害を賠償する責めに任ずる」(第三条)と定義している.また,品質管理用語[JIS Z 8101]では「設計,製造もしくは表示に欠陥のある製品を使用した者,または第三者がその欠陥のために受けた損害に対して,製造業者や販売業者が負うべき賠償責任」と定義している.民法の瑕疵(かし)担保責任では製品自体の損害を対象とするが,PLでは製品以外の人や財物への拡大損害を対象としている.従来,被害者が民法の過失責任に基づき欠陥製品のメーカに対し損害の賠償請求をするときは「製品の欠陥」に加え,メーカの「過失」を被害者が立証しなければならなかった.PL法ではメーカの「過失」を要件とせず,「製品の欠陥」だけでよしとしたことから「PLは無過失責任」ともいえる.しかし,事故が発生した事実だけでメーカに責任を課す「絶対責任」ではなく,被害者に「製品の欠陥」の立証を求めることから「欠陥責任」とか「厳格責任」と呼ぶこともある.なお,メーカが行うPL対策には,製品安全対策と訴訟対策がある.