工業教育

industrial education

 工業,工業教育に対応する適切な外国語はない.強いていえば前者はmanufacturing industry であろう.industry, industrial educationは,産業,産業教育と訳されることが多い.実態にそくしてみると,工業教育はtechnical education, 工学教育はtechnological(technology)educationあるいはengineering educationとなる.明治初年に実業を農業,工業,商業,水産などと分類する慣行が成立し,実業教育(実業学校)をこれに対応して区分したところから生まれた我が国特有の慣行である.工業の特定の領域の職業上の知識,技能を習得される目的で行われる教育をいう.狭義には高等学校の工業に関する専門学科の教育をさし,広義には,大学の理工系学部,短期大学や高等専門学校における工学教育,専門学校における工業系学科の教育を含む.いずれの学校においても,専門教育の重視と細分化の傾向が強い.産業技術の高度化に伴い,大学院の拡充も著しい.なお近年は専門学校における工業系の分野の拡充も著しく,全生徒の約3分の1が工業系学科に学んでいる.制度が柔軟で,時代の進展に即応する可能性と特定の知識技能に習熟させ得る利点が,専門学校を急速に拡大させている.我が国では普通教育が整備され,工業教育はその上に専門教育として構築されているので,幅広い専門分野に対応し得る特色を持つ.これは教育制度の特質だけでなく職域を限定しない雇用慣行とも相まっている.