技術予測

technological forecast

 技術の過去における発展の経緯と,現在の技術動向を考慮して,将来の技術の展開について前もって推し測ることであり,未来社会の変革につながる技術課題を選定するために必要である.さらに,技術の実用化には必ず製品の価格,便利性,需要,社会体系などに関する障壁を,新技術の研究開発によって突破して,社会の価値観に適合することが条件であり,この点からも予測は重要である.技術予測の方法として最も確実なのは「トレンド法」による,短期の予測である.この方法は予測の対象分野の技術について,過去の豊富な発展データを時系列的にプロットして,その傾向線を延長して,将来を予測するので,もし過去になかった突発的現象が,将来も発生しない限り予測が可能で精度も高い.他方,長期の技術予測で,しかも時系列データの少ない未踏技術では,その技術関連分野の専門家達の学識と経験に基づいた託宣に頼る「デルファイ法」がよく用いられる.この方法はゴードン博士によって開発された手法で,専門家達に対してアンケートを繰返すことにより,回答者は互いの予測を参考として,しだいに回答を収れんさせる手法である.この方法は技術以外の要因である社会環境,政策などに強い影響を受けるテーマの場合,その予測精度は低下する傾向にある.科学技術庁は「デルファイ法」を用いて,・未来技術予測」を5年ごとに実施して,その成果を発表している.