アウトソーシング

outsourcing

 企業内の業務の一部を外部に委託し,自社の基幹業務に経営資源を集中化させる,競争力強化のための経営戦略思想.①貿易分野では,製造コストの削減策として自社生産していた部品やユニット製品を低価格の海外調達品に切換えることを意味する.代表的な例としては,多国籍化した企業が海外の子会社や関連会社から部品あるいはOEM製品を調達し,販売するケースがある.②情報サービス分野では,情報化コストの低減のために「情報システムのシステム設計から運用・保守にいたる一連の業務を外部の専門業者に委託すること」という意味で使われる.1989年,アメリカのフィルムメーカ,イーストマン・コダック社が情報システム部門(担当技術者,設備を含む)をIBM社に売却,業務を外部に全面移管して情報化コストを劇的に削減したことで一躍アウトソーシングという言葉が脚光を浴びた.③経営戦略上の意義は,国際競争力を強化するためには企業の基幹業務あるいは成長性のある業務に経営資源を集中化させる必要があること,そのためには専門的ではあっても標準化された業務は外部の専門業者に委託して,自社の企業構造を単純化・効率化することが重要であるとする経営思想にある.高付加価値を創出しにくい業務は,直接・間接部門の別なく外部委託の対象になり得るとの考え方である.