通常地上大気圧に保たれている有人宇宙船キャビン環境から,3分の1気圧程度の純酸素宇宙服内環境への急激な移行は,体液中に溶存する窒素の気化により,関節部に強い痛みを伴う「ベンズ」と呼ばれる症状を引起こし,症状がはなはだしい場合には作業者を死にいたらしめる危険性がある.そのような症状を防止するためには,作業者はあらかじめ純酸素環境下で体内溶存窒素の洗い出しを行うとともに低圧純酸素環境への適応を図る必要があり,この過程をプリブリージングという.上述のような条件下での移行には,通常5~6時間程度のプリブリージングが必要とされている.