材料を常温で圧延する装置.冷間圧延機は通常熱間帯板圧延機で製造された熱間圧延帯板コイルを冷却後,巻戻して表面に生成されたスケール(酸化膜)を酸洗により除去した後,さらに厚みを薄くする圧延を行い,冷間圧延帯板コイルを製造する.冷間圧延機で圧延した後の薄板は加工硬化して硬く,かつもろいためこのままで利用されることは少ない.焼鈍・調質圧延の工程を経て初めて加工性に富み,かつ美麗な表面の冷間圧延製品となる.冷間圧延機には圧延する製品の板厚が薄く,硬いほど小径のロールが備えられる.普通鋼の圧延は板厚0.1~3.2mm,板幅500~2080mm程度の製品に対し,直径350~600mmのロールが用いられ,400~2300m/minの速度で行われる.冷間圧延時には冷却と潤滑を兼ねる冷却液が圧延材およびロールに多数のノズルより噴射される.冷間圧延は一台の圧延機を可逆で,あるいは数台の圧延機をタンデムに配置して行われるが,いずれの場合にも,入れ側に巻戻機と巻取機を配置し,圧延材に張力を加えて圧延が行われる.ステンレス鋼は加工硬化が著しく大きいため,直径25~100mmの小径ロールを備えた圧延機により圧延される.代表的なものとしてゼンジミアミルがある.このような小径のロールは水平方向へのたわみ防止のため,12,20段ロールをクラスタ状に配置して圧延荷重が支持される.最近では六段圧延機の作業ロールを小径にし,水平方向力を支持するロールを備えた圧延機も実用化されている.