大気汚染

air pollution

 人間の経済・社会活動に伴う物質の燃焼などによって大気が汚染されること.代表的な汚染物質としては,硫黄酸化物(SOx),窒素酸化物(NOx),浮遊粒状物質などがある.浮遊粒状物質(SPM, suspended particulate matter)とは粒径が10μm以下の大気中に浮遊する粒子状物質をいう.日本では1960年代,四日市スモッグ,四日市ぜんそくなど一部地域で深刻な大気汚染問題が発生した.その後,光化学スモッグや窒素酸化物,ふっ素化合物やカドミウムといった有害物質による大気汚染が問題になった.対策として大気汚染防止の制定(1968年),大気環境基準の設定(1969年から順次)と大気汚染物質の排出規制などの結果,全国的な大気汚染モニタリングが実施され,SOxやCOによる汚染は改善されたが,NOxによる汚染は課題になっている.またこれらが原因物質となっていると見られる酸性雨や,さらにアスベスト(石綿)粉じん,ホルムアルデヒド,芳香族炭化水素などによる汚染が指摘され,調査研究が進んでいる.また最近ではフロンガスによる生態系への影響が懸念されている.