滅菌法

sterilization

 動物細胞の培養液は栄養物に富んでいるので,微生物が混入すると動物細胞よりも急速に増殖し,栄養分の枯渇や毒性物質の産生を通して細胞を死滅させる.したがって,培養に用いる器具,培地などはその性質を損なわない方法を用いて滅菌する必要がある.ガラス器具,ゴム製品,メス,ピンセットなどの金属器具,耐熱性プラスチック器具および熱変性を起こさない塩類溶液などは高圧滅菌器を用いる.高圧滅菌法(オートクレーブ)は高温,高圧の水蒸気を接触させて滅菌を行う方法で,通常の使用条件は2気圧,121℃で15~20分である.高温に耐えるもので蒸気に触れてはならない器具の場合は乾熱滅菌器が用いられる.滅菌条件は160℃90分または145℃45分である.ろ過滅菌法は熱に不安定な成分を含む培地や試薬に用いる.孔径が0.2から0.45μmのメンブレンフィルタを用いてこれらの溶液をろ過することによって微生物を除去することができる.エチレンオキサイドを用いたガス滅菌法は耐熱性のない通常のプラスチック器具に利用される.また,ガンマ線や紫外線も用途に応じて利用される.