生物と深い関係を持つ流体現象を扱う学問領域である.その歴史は古く,ポワズイユ流れやヤング率は血管内血流現象の研究過程で得られたものである.現在ではその内容は多義にわたり,鳥や植物種子の飛行,魚や微生物の泳ぎなどを扱う外部流と,動物の血液,体液,呼吸用気体や植物の樹液などの管路内流れを扱う内部流に大別される.一般の流体力学に比し,対象の構造体や管路が柔らかく変形しやすくまた複雑であることが特徴の一つとなっている.血液流や呼吸など動物の生理と密接な現象を扱う部門は生理流体力学とも呼ばれる.