血液の温度が周囲の組織温度と平衡に達するのに必要な血管の長さで，血管の太さにより大きく異なる．直径が1mm以上の動脈や静脈では平衡長さは数ｍ以上と長く，熱的平衡には達しない．逆に直径が20μm以下の毛細血管などでは平衡長さは数μm以下と短く，これらの血管では全長にわたり熱的平衡が成立している．直径が0.1mm程度の血管では血管の長さと熱的平衡長さがほぼ等しく，血液と組織の間の熱移動はほとんどこの大きさの血管で行われていると考えてよい．