206余の骨と多数の骨格筋から構成される人体の筋・骨格系は,多種・多様な可動関節・不動関節で連結されている.関節の力学の対象は,関節部の荷重支持・伝達機構や運動機構,トライボ挙動の解明に大別される.静的状態の関節力は,解剖学データに基づく筋・骨格系の静力学により評価されるが,慣性力を無視できない場合は,運動計測や床反力計測などを含めた動力学解析が適用される.運動挙動に関する関節面形状と軟組織の役割や,軟骨・海綿骨構造と関節液の荷重伝達・摩擦・摩耗・潤滑機構への関与も解明されつつある.