ファジィ集合に関する理論で,1960年代にカリフォルニア大学バークレイ校のザデー教授により自然言語の不確かさをモデル化するために紹介された.全体集合において明確に定義される集合(クリスプ集合)に対し,部分集合の境界がどこで区切られているかあいまいな集合をファジィ集合という.従来の集合論が全体集合Sの部分集合をUとする時,Uが\[{\mu _U}:S - > \left\{ {0,1} \right\}\]となり,集合\(\left\{ {0,1} \right\}\)のどちらかの値を写像するのに対し,全体集合Sのファジィ部分集合Fは,連続区間\(\left[ {0,1} \right]\)を出力する写像となる.すなわち,\[{\mu _F}:S - > \left[ {0,1} \right]\]写像Fはメンバシップ関数と呼ばれ,出力値をメンバシップ度という.したがって,出力値が0ならば,“メンバでない”ことを,出力値が1ならば完全なメンバであることを意味する.ファジィ集合論の立場に立てば,クリスプ集合もメンバシップ関数が特別の場合として,ファジィ集合の一部とみなすことができる.