====== 燃料電池 ====== ==== fuel cell ==== {{tag>..c08 ..c12}}  燃料電池は電解質を介した2種の電極を用い,反応物として,正極(空気極)に酸素または空気,負極(燃料極)に水素や炭化水素などの燃料を外部から供給し,生成物(H2O,CO2など)を逐次外部に除去して連続的に発電する.また,反応物の供給を止めると発電しないため,電池よりむしろエネルギー変換器ともいえる.燃料電池発電は次の特徴がある.①熱エネルギーや運動エネルギーの過程を経ない直接発電のため,小規模で高い発電効率が期待できる.②窒素酸化物やばいじんなどの排出が少なく,騒音や振動の少ない優れた環境性をもつ.③冷却用に多量の海水,河川水を必要とせず,都市部に設置可能である.④発電に伴い発生する熱を利用し,給湯,地域冷暖房と組合せてコージェネレーションとすることにより,総合エネルギー効率の向上が期待できる. 燃料電池は,電解質によって,アルカリ形燃料電池(AFC),リン酸形燃料電池(PAFC),[[|溶融炭酸塩形燃料電池]]([[12:1001232|MCFC]]),[[|固体電解質形燃料電池]]([[|SOFC]]),固体高分子形燃料電池(PEFC)などに分類できる(表).いずれも単電池の出力電圧は低いため,実用化にはセパレータを介し直列に多数のセルを積層した[[12:1009816|燃料電池スタック]]として使用される.図にリン酸形燃料電池発電プラントの基本構成を示す.機能別に次のサブシステムに分類できる.  1. 燃料処理系:原燃料ガスと別に製造する蒸気と熱により改質・変成を行う.  2. 空気処理系:空気を導入する部分. プラントの高効率化を目指すにはより高圧が必要となり,空気圧縮機が使用される.  3. 熱処理系:改質に必要な蒸気の生成,さらに冷却用水(または空気)を含めてプラント全体の総バランスを制御する.  4. 燃料電池スタック:燃料処理・空気処理系から得られた改質ガス・空気を導入して発電する.なお発電時に発熱するため,冷却用水(または空気)が電池内を循環し,この熱を熱処理系へ送りプラント全体の温度制御を行う.  5. 水回収系:電池内で生成される水,燃料処理系から回収される余剰水および冷却水は,すべて水回収系へ戻され,脱気・脱イオン・ろ過され,純水として再びプラントへ供給される. また上記のほか,電池本体で発電される直流電力を交流に変換する直交変換装置,プラント全体の制御・保護を行う監視・制御装置,窒素ガス,制御用空気などの貯蔵装置がある. {{popup> :1009815_01.jpg?400 }} {{popup> :1009815_02.jpg?400 }} {{popup> :1009815_03.jpg?400 }} ~~NOCACHE~~