====== サイ-ウ則 ====== ==== Tsai-Wu failure criteria ==== {{tag>..c07 ..c08}} サイ-ウ則は,[[07:1008409|直交異方性材料]]に適用される破壊[[07:1002945|強度]]則の一つであり,ホフマン則を拡張したものである.[[07:1001440|応力]]の多項式の2次の成分をすべて考慮し,せん断の正負などの不要項を削除したものであり,以下の式で表される.この式を満たす場合に破壊したと考える. $$F_i\sigma_i+F_{ij}\sigma_i\sigma_j=1(i,\ j=L,\ T,\ Z,\ TZ,ZL,LT)$$ ここで上式において,いま一方向[[08:1007066|繊維強化複合材料]]を考えると,下付き添え字のL, T, Zはそれぞれ繊維方向,繊維直交方向,積層方向を示し,$\sigma_{()}$は局所座標系の応力を表す.$F_i$, $F_{ij}$は引張,圧縮およびせん断強度より求まるパラメータである.いま,[[07:1011764|平面応力状態]]($\sigma_Z=\sigma_{TZ}=\sigma_{ZL}=0$)かつ直交異方性材料とみなす場合に,上式は以下のように表すことができる. $${F_L\sigma_L+F_L\sigma_T+2F_{LT}\sigma_L\sigma_T+F}_{LL}{\sigma_L}^2+F_{TT}{\sigma_T}^2+F_{LTLT}{\sigma_{LT}}^2=1$$ $${F_L=\frac{1}{F_L^t}-\frac{1}{F_L^c},F_T=\frac{1}{F_T^t}-\frac{1}{F_T^c}, \ F}_{LL}=\frac{1}{F_L^tF_L^c},\ F_{TT}=\frac{1}{F_T^tF_T^c},$$ $$\ F_{LTLT}=\frac{1}{{F_{LT}^s}^2}, F_{LT}={F_{LT}}^\ast\sqrt{F_{LL}F_{TT}}\ ,\ -1<{F_{LT}}^\ast<1$$ ここで,上付き添え字のt, cおよびsはそれぞれ引張,圧縮およびせん断を表しており,例えば$F_L^t$の場合,繊維方向引張強度を意味する.なお$F_{LT}$は,垂直応力成分の相互干渉(カップリング)の項であり,係数である${F_{LT}}^\ast$が上式において材料定数となっている.S.W. Tsai & H.T. Hahn : Introduction to Composite Materials, Technomic, Westport, CT(1980).によると,十分な実験値がない場合には,${F_{LT}}^\ast=-0.5$ととるように提案している.