垂直に離着陸し，遷移飛行状態を経て水平巡航飛行する性能を持った航空機．通常，ヘリコプタは含めない．超低速領域への航空技術の挑戦として研究の歴史は古く，表に示すように考えつくほとんどすべての方式が研究された．しかし現在のところ量産機にまで完成されたものはイギリスで開発されたジェット推力偏向型の戦闘機ハリヤーのみである．民間機適用としてはエンジン排気の騒音と燃料消費率の悪さが課題となる．現在開発が継続されている形態に，ロータを傾けるティルトロータ形式のV-22型機がある．21世紀の実用化をめざして超音速VTOL戦闘機（ASTOVL）が研究され，民間高速VTOL機（コアエンジン・ファン分離型）が検討されている．