ロボットを利用して,作業やサービスなどを行うシステムをさす.その基本的な構成は,センシングシステム,制御システム,情報処理システム(人工知能),マニピュレータ,移動システムなどが組合されたものである.センシングシステムは,作業環境の状況や物体を操作しているときの力,あるいは自分自身の位置・姿勢などを計測するものである.制御システムは,おもに,センシングシステムのデータに基づいて腕(マニピュレータ)や移動機構の動作を対象とするものである.知的な判断を伴う処理を行うシステムは,通常,人工知能とか情報処理システムと呼ばれる.また,ロボットという場合,単にマニピュレータだけのものをさすこともある.ロボットシステムがその作業実行に人間の介入を伴うか否かで,遠隔操作型ロボットと自律型ロボットに分けられる.図1はハンドアイシステムと呼ばれる自律型ロボットの一つで,視覚装置とマニピュレータを組合せたシステムである.図の視覚装置は光切断法を利用したもので,レーザを走査して作った光切断面を対象物に当て,切断面形状のデータを取込む.情報処理装置で,そのデータに基づいて対象物体を認識し,位置・姿勢を計測し,さらに作業手順を生成し,制御装置でマニピュレータを動かして部品を組立てて一つの装置としたり,装置を分解するなどの作業を行う.ハンド部に力センサを装備して部品の把握や組付けを制御するようにしたシステムなどもある.
図2は知的遠隔作業ロボットシステムと呼ばれるもので,遠隔の作業ロボット(スレーブマニピュレータ)と指令を入力する操作ステーション,両者をつなぐ通信路で構成される.作業の実行は,操作卓から人間がマスタマニピュレータやロボット言語により指令を与え,実行結果を監視カメラの映像で確認しながら作業を進める.事前/事後の動作のシミュレーションをグラフィクスで表示したり,さらにそれを映像に重ね合せて確認しやすくしたものなど,マルチメディアも利用される.立体視を備えたものもある.最近は,遠隔操作型ロボットの一種として,ネットワークを利用したシステムも実現されている.このような遠隔操作型ロボットシステムには,単なる作業の実行だけでなく,遠隔臨場技術を用いて,遠隔の環境における体験を操作している人間に伝えるという機能を目的としたものも考えられている.