1920年にチェコの作家カレル・チャペックが書いた戯曲「ロッサム・ユニバーサル・ロボット会社(R.U.R.)」に登場する人造人間に名付けられたチェコ語の労働robotaに語源を持つ.以来,高度自動化機械全般をさす用語として日常生活で使われ始め,1960年代中頃に産業用ロボットがアメリカで開発されるにいたり,科学技術の用語としても普及した.文学のイメージが先行したため,ロボットの学問的定義は未だ明確でなく,さまざまな定義がなされている.その代表に,「移動性,個体性,知能性,はん用性,半機械半人間性,自動性,奴隷性の七つの要素を持つ柔らかい機械」(森・合田)や,「①脳と手と足を含む個体,②遠隔受容器,接触受容器,③平行覚,固有覚,の3要素を持つ機械」(加藤)(図参照)とするものなどがある.いわば,ロボットは人や生物に類似した機能を持つ知的機械であり,それを具体化するには,一般に頭脳のハードウェアとしての計算機と知能を実現するソフトウェア,周囲の状況・自身の状態を知るセンサ,ものを操るマニピュレータ,移動機構,人やほかの機械からの命令を理解するインタフェースなどが必要とされる.ただし実用上は,これらの一部を有する機械もロボットと呼ばれ,その結果,操縦ロボット,知能ロボットや溶接ロボット,極限作業ロボットといった機能や用途の限定されたいろいろなロボットの名称も使われている.また,ロボットの科学全般を取扱う学問はロボティクスと呼ばれる.