熱交換器等の管群など多数の円柱構造物においては、限界流速を超える直交流にさらされると、管が流れからエネルギを取り込んで自励振動が発生し、急激に振幅が増加することがある。これを流力弾性振動と言う。
1966年にRobertsが、ある限界流速を超える直交流にさらされると、一列管群中の隣接する管が交互に前後運動することによって管からのジェット流れがスイッチし、急激に振幅が大きくなることを発見した。これがジェットスイッチ現象である。
1970年にConnorsは隣接する管が同期して振動をする際に、変位に比例した流体力が作用することによって不安定になると考え、流力弾性振動の発生限界流速を求める評価式( Connorsの式)を理論的に導いた。これは変位メカニズムと呼ばれる。
その後、管の速度に比例した流体力が作用して流力弾性振動が発生するとの速度メカニズムが提唱された。速度メカニズムでは、管群中で1本のみ柔支持された管の流力弾性振動を説明することができる。その後も蒸気発生器のU字型管群において発生した面内方向の流力弾性振動に関する研究など、管群の流力弾性振動については2021年時点でも多くの研究が続けられている。