振動は減衰が不足しているシステムに何らかの励振力が加わって起こる.そこで,外部から積極的に減衰を付与したり,その励振力を除去もしくは緩和することを振動制御という.その減衰を受動的に付与する場合を振動のパッシブ制御あるいはパッシブ振動制御,受動要素に可変性を持たせて適応的に減衰を与えれば振動のセミアクティブ制御あるいはセミアクティブ振動制御,コントローラ,センサ,アクチュエータを備えて能動的に与える場合を振動のアクティブ制御あるいはアクティブ振動制御と呼ぶ.振動制御の分野では,本来動吸振器による制振法が確立していたが,これをアクティブ要素で実現する方法が出現して,アクティブ振動制御の言葉が生まれた.アクティブ振動制御では,減衰の付与ばかりでなく,振動特性を変えたり,励振力を相殺する制御力も作出すことができる.また,種々な制御理論で振動制御装置を設計することによって,目的に応じた振動制御が可能である.振動制御の主目的は安定化であるから,LQ制御理論がおもに制御系設計に用いられているが,信頼性が強く求められるときはロバスト制御理論,システムの非線形性や不確定性が強い場合はニューラルネットワークなど学習制御やスライディングモード制御,外乱等励振力を相殺するにはフィードフォワード制御や適応制御が試みられている.