航空用ガスタービンエンジンの総称で,広義には回転機械を含まないラムジェットも含まれる.熱力学的にはブレイトンサイクルに従う熱機関で,空気取入口および圧縮機による断熱圧縮過程,燃焼器による定圧加熱過程,タービンおよびノズルによる断熱膨張過程,排気の定圧冷却過程からサイクルが構成される.出力は作動ガスの運動エネルギーの形で取出すか,あるいは圧縮機用タービンにパワタービンを付加して軸出力として取出す.前者の形態にはターボジェットエンジンやターボファンジェットエンジンが含まれる.軸出力を得る後者の形態には,減速機を介してプロペラを回転させるターボプロップエンジンや,同じくヘリコプタなどのロータを回転させるターボシャフトエンジンが含まれる.
ジェットの運動エネルギーを利用して推力を得る場合,ジェットの噴出速度が飛行速度に近いほど推進効率が改善される.ファンジェットエンジンは圧縮機用タービンのほかにファン用タービンをもち,これでファンを駆動し,全体の流量を増加させる一方で平均のジェット速度を下げ,推進効率を改善する.ファンエンジンはダクテッドファンジェットエンジンとも呼ばれ,ファンが前方にあるものをフロントファン,後方にあるものをアフタファンと呼んでいる.圧縮機を通過する流量に対するファンだけを通過する流量の比をバイパス比と呼び,5~7のものを高バイパス比ファンエンジン(図参照),10~25のものを超高バイパス比ファンエンジンと呼ぶ.
薄い翼厚と後退角を有し,高亜音速飛行に対応できるATP(アドバーンストターボプロップ)が開発され,パワタービンの出力を減速機で互いに逆回転する出力軸に取出す二重反転のプロップファンや,プロペラを直接パワタービンで駆動するアンダクテッドファンジェットエンジンすなわちUDF,さらにこのようなプロペラファンをダクトに収納するADP(アドバーンストダクテッドプロップ)などの概念が実証されている.
ファンは低圧タービンで駆動され,圧縮された大量の空気はジェットとして噴出される.コアの空気と混合して噴出する場合もある.
圧縮機,燃焼器,高圧タービン部はガスジェネレータあるいはコアと呼ばれる.
圧縮機は高(中)圧タービンで駆動される.軸流型が多いが,小型では遠心型も用いられる.
燃焼器は内筒と外筒を有する二重構造で,筒型のものと環状のものがある.燃料にはケロシンを主成分とするジェット燃料が用いられる.
タービンは高(中)圧,低圧に分けられ,それぞれ高(中)圧圧縮機,ファンを別々の軸で駆動する.軸は通常同心二軸であるが,中圧軸に対応して同心三軸のものもある.
ジェットノズルは排気ガスを加速する働きをする.超音速飛行の場合,アフタバーナを付加して一時的な推力増強が図られる.