冷却といえば，より低い温度の物体を接触させて，対象の温度を下げる過程の総称であるのに対し，冷凍とは，低い温度（通常，環境温度以下）の状態を機械的に作り出す過程をいう．冷凍機は，熱力学的には熱機関に対比され，仕事を受けとって熱を低温側から高温側に移動する機能をもつものとして定義される．低温側から熱を奪う機械を冷凍機，高温側に熱を与える機械をヒートポンプとして区別する場合，あるいは両者を総称してヒートポンプと呼ぶ場合もある．流体に外部から熱が入らないような条件のもとで，圧力\({P_{\rm{H}}}\)から\({P_{\rm{L}}}\)まで膨張すると温度が下がる．これを低温の生成に利用することができる．継続的に行うには，流体を元の\({P_{\rm{H}}}\)の状態まで圧縮して戻すとともに流体が被冷却対象より奪った熱を外部に捨てる必要がある（冷凍サイクル）．例えば，図のように構成される．熱を奪う，あるいは捨てる過程で相変化のあるなし，膨張過程がタービンなどで可逆断熱過程に近い場合，あるいは弁などによる絞り膨張である場合，また多段の圧縮や膨張など，いろいろな構成がある．流体を熱的に圧縮する吸収式冷凍機，熱電冷凍，磁性体を断熱的に消磁すると温度が下がる性質を利用する断熱消磁法もある．(→断熱消磁，冷凍サイクル)