物理学的には,物体や系が持っている仕事をすることができる能力をエネルギーという.力学的エネルギー,熱エネルギー,電気エネルギー,化学的エネルギー,原子核エネルギーなどに大別される.質量がエネルギーに変換される原子核エネルギーも含め,各エネルギー間でたがいに変換され,その総和は保存される.単位はSI単位系ではジュール(J)を用いる.物体あるいはその系が外界に対し仕事をしてエネルギーを供給するような場合には,単位時間当たりのエネルギー移動量を考えることが多い.この量が動力であり,単位は(W)を用いる.上記エネルギーの一部について説明を加える.力学的エネルギーには,運動エネルギーと位置エネルギーがある.質量m,速度vで運動している物体は(1/2)mv2の仕事をする能力を持っているので,これを運動エネルギーという.二つ以上の物体で構成されている系で物体間に働く内力によって生じるエネルギーが,その間の位置によって定められる場合がある.これを位置エネルギーあるいはポテンシャルエネルギーという.重力場では,高さhにある質量mの物体はmghの位置エネルギーを持っている.熱は物体を構成する分子や原子の運動および相互作用に起因するエネルギーであり,熱を供給することにより力学的エネルギーを取出すことができる.その具体的装置の例が熱機関である.