複数の金属材料あるいは非金属材料を加熱あるいは加圧するなどの手段により原子間結合させ，これによって接合する行為あるいは接合されたものを総称して溶接という．溶接は，母材の接合部を加熱溶融して接合する溶融溶接（融接）と，母材接合面を突合せて加熱あるいは加圧し固相状態で接合する固相接合（圧接）に大別される．また，加熱熱源，加熱方法，加圧の有無，溶接箇所を大気から遮断するシールドガスの有無，その種類などによって細かく分類される．融接では，溶接部が加熱溶融と凝固冷却という過酷な熱履歴を受けるため，母材に熱変形を生じやすい．このため，一般には溶接用ジグで母材を固定し，仮付け溶接などを施した後，溶接能率，溶接変形，溶接欠陥発生の防止などを考慮して決められた溶接順序に従って溶接が施行される．溶接中に発生する金属蒸気などを含む溶接フュームやCO2溶接時に生ずるCOは溶接作業者の健康を害する恐れがあるため，換気には十分注意を要する．母材の溶接の難易を表す用語として溶接性が用いられる．同じ構造用鉄鋼材料でも，その化学組成により著しく溶接性が異なるため，母材の溶接性試験を行いその溶接部の評価を行ったうえで適正な溶接を行う必要がある．
