この材料は,2種類以上の素材を複合し一体化することにより,各素材の物性を生かし,希望する機械的性質や機能性を持つ材料を人為的に作成できる工業用材料である.複合材料は性質の異なる複数の相からなり,基本的には第二相とも呼ばれる充てん材と,この相を包み材料を一体化する母材とから構成され,両相が完全に接合し,複合前の界面を複合後も残るものをいう.こうした定義からみると,複合材料は古代から自然発生的にまた経験的に使用されてきたが,現在では希望する物性を人為的に作りうる材料,すなわち材料設計可能な先進材料として開発が進められている.複合材料は多種多様あるが,分類法として第二相の形状と母材の種類による方法がある.第二相の形状による方法では,繊維強化複合材料,粒子分散複合材料,粒子充てん複合材料,積層材料がある.さらにこの繊維強化複合材料にはプラスチックを母材に使用した繊維強化プラスチック(fiber reinforced plastics, FRP),ゴムを使用した繊維強化ゴム(fiber reinforced rubber, FRR)がある.また母材の材質による分類方法として金属を母材とした金属基複合材料(metal matrix composites, MMC),高分子を母材とした高分子基複合材料(polymer matrix composites, PMC),セラミックスを母材としたセラミック基複合材料(ceramic matrix composites, CMC)などがある.