チタン合金は純チタンの“軽く,強く,さびない”などの特性をいっそう向上させたものである.耐食性に優れ,非磁性体であり,熱伝導率は18-8ステンレス鋼と同等で,線膨張係数およびヤング率はその約2分の1である.純チタンの耐力は引張強さの約75%であるが,合金では90%以上となる.この合金は低温脆性はないが,化学的には活性で,焼付きを起こしやすく耐摩耗性に劣る.特性から高力チタン合金,耐熱チタン合金,耐食チタン合金などに分類される.また結晶構造によりちょう密六方格子であるα型合金,体心立方格子のβ型合金およびα+β型合金に分類される.α型合金は,変態温度以下では金属学的に安定で,高温特性に優れ,溶接性も良い.β型合金は,塑性加工性が良く,溶体化処理して時効硬化できる.α+β型合金は,金属組織の選択,調整ができ,熱処理も可能で,靭性が高く,塑性加工性も良いので最も多く使用されている.なかでも,Ti-6Al-4V合金はチタン合金中最も多用されている代表的なα+β型合金である.機械的性質に最も優れ,超塑性を利用した鍛造法,TIG溶接,固体拡散接合,電子ビーム溶接などの接合法および精密鋳造法が適用されている.用途は航空宇宙関係のジェットエンジン部品,降着装置の脚柱,主翼,胴体の構造,および化学機械,熱交換器,眼鏡,時計,ゴルフ用具などに用いられている.