金属などの塊状素材に,種々のダイスやパンチなどの工具を用いて圧縮荷重を加え,種々の形状に成形する塑性加工法.その起源は紀元前約40世紀にもさかのぼるといわれる.最も簡単な自由鍛造は,鍛冶屋によりハンマとアンビルを用いて人手によって行われてきたが,最近の鍛造は,ドロップハンマ,機械プレス,油圧プレスなどにダイセットを組込んで行われている.金属を鍛造すると,空孔や偏析などの内部欠陥が消滅し,繊維状組織(メタルフロー)などが形成され,機械的強度や靭性が改善される.したがって,飛行機の離着陸用歯車やジェットエンジンの主軸などの高い応力を受ける強度部品に用いられる.また,高速のプレス機械を用いると,同一部品を大量に経済的に生産できるため,自動車用エンジンのクランクシャフト,コネクティングロッド,ボルト,ナットなどの製造に広く用いられている.鍛造を加工温度で分類すると,常温で行われる冷間鍛造,再結晶温度以上の高温で行われる熱間鍛造,および再結晶温度以下の高温で行われる温間鍛造に分類される.一方,作業形式で分類すると,簡単な形状の平ダイスを用いる自由鍛造,上下の彫型を用いてバリを出しながら成形する型鍛造,バリをなくして成形する密閉鍛造がある.さらに最近では部品の最終の寸法形状にきわめて近い部品を製造するためのニアネットあるいはネット成形として,各種精密鍛造法が開発されている.