金属材料,プラスチックをはじめとする非金属材料,各種複合材料,などを塑性変形させることによって所定の形状・寸法に加工する方法を塑性加工という.一般に広く行われている塑性加工法としては,圧延,押出し,引抜き,ロールフォーミングなどのように,板,棒,線,管などの素材の製造に多く用いられる加工法,自由鍛造,型鍛造,回転鍛造,すえ込みなどのように塊状物を成形するのに利用される加工法,深絞り,張出し,曲げ,スピニング,液圧バルジングなど,板や管の成形に用いられる加工法もある.また,せん断,切断などの分離加工,さらに圧接など接合加工に関連する加工法もある.塑性加工には次のような特徴がある.①材料損失が少ない.例えば,切削では最終製品になる被加工材の割合(歩どまり)が50%程度であることが多いが,冷間鍛造では90~95%以上となる.②生産速度が速い.すなわち,小物の部品の塑性加工ではサイクル時間が1/10秒~数秒であることが多く,また,圧延などの連続加工の多くは最終速度が1500~2000m/minに達することも珍しくない.このため,自動車産業や家庭電器産業のような大量生産を行う部門で塑性加工が多く用いられる.③材質の改善ができる.広く知られているように,材料を塑性変形させると結晶粒の大きさの変化,介在物の微細化,空げきの押しつぶしなどの材質変化を生じさせることができる.塑性加工と熱処理を組合せることにより,強度と延性を向上させた材料や異方性をもたせた材料などの製造が可能である.特に,冷間加工では加工硬化を生じさせ,材料の強化ができる.