高強度の繊維をプラスチックに複合化することにより強化した複合材料で,繊維強化プラスチックという.この繊維強化プラスチックは比強度(単位重さあたりの強度)に優れ,強化繊維が炭素繊維の場合には比弾性率(単位重さあたりの弾性率)にも優れている.1940年代に工業的に実用化した後,宇宙・航空,陸上,海洋の分野において構造用材料として開発実用化され,またスポーツ用品として使用されている.FRPの機械的性質は,繊維・母材の種類,繊維体積含有率,繊維配向性に依存することが知られ,その結果は複合則と繊維配向性に関する理論より算定することが可能であり,FRPは材料設計が可能な代表的材料として知られている.FRPは使用する繊維の種類より,炭素繊維はCFRP,ガラス繊維はGFRPまたは単にFRP,アラミド繊維はAFRPと表記され,樹脂の種類に関しては熱可塑性樹脂では上記記号の“P”に代えTP(thermoplastics),熱硬化性樹脂についてはTS(thermosetting plastics)と表現する.繊維の断面は円形,だ円形,まゆ形などがあり,その直径はおよそ10μm前後である.またその長さはいろいろあるが長繊維,短繊維,粉末状が用いられている.これらは必要とする物性と,使用する樹脂と成形方法によって決定される.