物体に力を加えて変形させた後,力を取除くと元の状態に戻る性質を弾性という.このような性質を持つ物体を弾性体といい,応力によって生じた変形を弾性変形という.弾性を積極的に利用した物体としてばねがあげられ,弾性を表現する力学モデルとしてよく用いられる.すべての材料はある応力以下で弾性挙動を示す.そして応力がある大きさ以上になると,応力を取除いた後にもひずみの一部あるいは大部分がそのまま残る塑性の性質が現れる.この塑性領域に入る前の限界の応力を弾性限界あるいは弾性限度という.この弾性限度内で生ずる弾性変形のうち,変形が応力除去と同時に瞬時に元に戻る場合を理想弾性変形,応力除去後時間遅れを伴い徐々に元に戻る場合を弾性余効変形という.この弾性余効は材料の粘性によって現れる現象で粘弾性と深く関係する.【弾性体】