数値流体力学またはCFDともいう.流れを記述する方程式をコンピュータにより数値的に解くことで流れの諸現象を解明・再現・予測する研究分野.その領域は物理・数学・化学・情報・工学の広範囲にまたがり発展し続けている.計算流体力学は,大きく,前処理・本計算・後処理の三つに分類される.すなわち,①計算を行うための格子生成や複雑形状の設定を行う処理,②オイラー方程式やナビエ・ストークス方程式を,差分法・有限体積法・有限要素法・境界要素法などにより離散化して,境界条件・初期条件を与え流動解析を行う,③解析結果を基に流線・圧力分布・速度分布などを表示する画像処理(computer graphics, CG),である.コンピュータの大容量・高速化とともに高精度の解を効率よく安定に求めるためのスキームが多数開発されてきており,三次元高レイノルズ数の乱流や混相流・化学反応を伴う流れ・希薄流・ミクロ流などの特殊な流れの解析も盛んに行われ,かなりの精度で解が得られるようになっている.しかし複雑乱流や実在気体効果のように複雑な現象を記述するためにはモデルを導入することが必要で,現象を記述するための普遍的なモデルの開発研究が精力的に行われている.また,流体を一つの塊(流体素子)として扱い,塊の運動を追従していく粒子法や渦法などに代表されるような格子形成を必要としない解析手法も多く提案され試みられている.