各カテゴリーの試験問題例:CatⅢ
問題1
ハンマリング法で定格回転数600rpmの回転機械のロータの固有振動数10Hzが求められた.さらに,共振時のQ値10を得た.現状の定格回転数の振動値は141μmである.これを100μmとするためには,ロータの固有振動数をいくらにすれば可能か.
- 5Hz
- 9.5Hz
- 12.5Hz
- 10.5Hz
- 9.5Hzあるいは10.5Hz
正解
正解:5
解説:定格回転数と固有振動数が一致しており,振幅を0.7倍するので,半値幅法の公式からQ=fn/(2×⊿f).ここにfnは固有振動数であり,⊿fは固有振動数と加振周波数のずれである.⊿f=fn/(2Q)=10/(2×10)=0.5[Hz].従って,10[Hz]±0.5[Hz]=9.5[Hz]あるいは10.5[Hz].
解説:定格回転数と固有振動数が一致しており,振幅を0.7倍するので,半値幅法の公式からQ=fn/(2×⊿f).ここにfnは固有振動数であり,⊿fは固有振動数と加振周波数のずれである.⊿f=fn/(2Q)=10/(2×10)=0.5[Hz].従って,10[Hz]±0.5[Hz]=9.5[Hz]あるいは10.5[Hz].
問題2
船のプロペラ軸は,長さ:=4m,直径:d=100mmの鋼である.軸受台によって固定とみなすような支持がなされている.他端は,質量(水の付加質量含む):m=450kgのプロペラが取り付けられている.曲げの固有振動数が回転数と一致したので,20%固有振動数を高くしたい.回転軸直径を約何%増加させる必要があるか.
- 2%
- 5%
- 10%
- 15%
- 20%
正解
正解:3
解説:プロペラの質量に対してプロペラ軸の質量の影響は小さい.固有振動数を1.2倍にするためにはプロペラ軸のばね定数を1.2×1.2=1.44倍にすれば良い.プロペラのばね定数は直径の4乗に比例するので,√1.2=1.1倍にすればよい.
解説:プロペラの質量に対してプロペラ軸の質量の影響は小さい.固有振動数を1.2倍にするためにはプロペラ軸のばね定数を1.2×1.2=1.44倍にすれば良い.プロペラのばね定数は直径の4乗に比例するので,√1.2=1.1倍にすればよい.
問題3
測定対象の1段の歯車箱には,歯車軸の回転同期振動(59.5Hzで0.5mm/sec)および歯車のかみ合い振動(5950Hzで0.5mm/sec)を持っている.このとき,データを加速度で評価するとすれば,分析器に要求されるダイナミックレンジはいくらか.
- 40dB
- 46dB
- 52dB
- 58dB
- 64dB
正解
正解:1
解説:20log{(0.5×2π×5950)/(0.5×2π×59.5)}=40[dB]
解説:20log{(0.5×2π×5950)/(0.5×2π×59.5)}=40[dB]
問題4
2000馬力の2極の電動機が3,570 rpm で運転されている.ハニング窓関数を使うとすると,データ評価のために最大測定振動数Fmaxと分析ライン数Lineの適切な値を求めよ.なお,この地域の電源周波数は60HZである.
- Fmax=400Hz Line=1,400Line
- Fmax=200Hz Line=3,200Line
- Fmax=400Hz Line=1,600Line
- Fmax=200Hz Line=1,600Line
- Fmax=400Hz Line=800Line
正解
正解:4
解説:ハニング窓関数の窓係数は1.5であるから,回転周波数成分3570[rpm](=59.5[Hz])と電源周波数成分60[Hz]を分離するための周波数分解能は0.5/(2×1.5)=0.167[Hz]以下.周波数分解能はFmax/Lineであり,上記条件を満たす計測時間最短のものを選択する.
解説:ハニング窓関数の窓係数は1.5であるから,回転周波数成分3570[rpm](=59.5[Hz])と電源周波数成分60[Hz]を分離するための周波数分解能は0.5/(2×1.5)=0.167[Hz]以下.周波数分解能はFmax/Lineであり,上記条件を満たす計測時間最短のものを選択する.
問題5
定格運転速度1775 rpmのロータに対し,1面フィールドバランスを行う.当初の振動値50μm,回転マークからの位相遅れ10°に対し,同じ回転数で,150 gの試しおもりを回転マークから反回転方向110°の位置に設置すると、振動値65μm、位相遅れは60°となった.なお,回転パルスセンサと振動センサは同位相に設置している.
(1)試しおもりをはずして,つりあわせるための修正おもりの大きさと取付け位置を求めよ.
(2)当初,ふつりあいと振動波形のピークとの位相差はいくらかとなっていたか.
(3)このファンの危険速度はどれくらいか.
(1) 修正おもりg 取付け位置(°)
- 150 回転マークから反回転方向に約190°
- 100 回転マークから回転方向に約170°
- 150 回転マークから回転方向に約190°
- 200 回転マークから反回転方向に約170°
- 120 回転マークから反回転方向に約190°
(2)
- 約30°遅れ
- 約20°遅れ
- 約0°
- 約20°進み
- 約30°進み
(3)
- 600rpm
- 1,200rpm
- 1,500rpm
- 2,000rpm
- 6,000rpm
正解(1)
正解:1
解説:影響ベクトルは65[μm]∠60゜-50[μm]∠10゜=50[μm]∠110゜であるから,修正おもりの大きさは150[g],位相は180゜+10゜-110゜=80゜回すので,110゜+80゜=190゜.
解説:影響ベクトルは65[μm]∠60゜-50[μm]∠10゜=50[μm]∠110゜であるから,修正おもりの大きさは150[g],位相は180゜+10゜-110゜=80゜回すので,110゜+80゜=190゜.
正解(2)
正解:3
解説:試しおもりの位相が110.゜,影響ベクトルの位相が110゜であるから,不釣合いと振動波形のピークとの位相差は0゜
解説:試しおもりの位相が110.゜,影響ベクトルの位相が110゜であるから,不釣合いと振動波形のピークとの位相差は0゜
正解(3)
正解:5
解説:不釣合いと振動波形のピークとの位相差は0゜であるから,危険速度は定格回転速度の3倍程度以上と考えられる.
解説:不釣合いと振動波形のピークとの位相差は0゜であるから,危険速度は定格回転速度の3倍程度以上と考えられる.
問題6
すべり軸受で支持された2極の誘導機モータの振動を水平方向で計測した結果,運転回転数の 1倍成分および 2倍成分は,それぞれ1.0mm/s ,0.2mm/s を示し,その他に 100Hzで2.5mm/sの成分を持っている.このモータの振動の主原因は何か.なお,このモータが設置されている場所の電源周波数は 50Hzである.正しいものを下記より選択せよ.
- 回転子の質量アンバランス
- ミスアライメント
- ラピング
- オイルホ ワール
- 固定子のゆ がみ
正解
正解:5
解説:固定子のゆがみによりエアギャップが不平衡になり,電源周波数の2倍成分が発生する.
解説:固定子のゆがみによりエアギャップが不平衡になり,電源周波数の2倍成分が発生する.
問題7
質量が70kgで600rpmで回転している機械が、1回転ごとに60Nの加振力を鉛直方向に作用させている。このポンプをコンクリート架台に取り付け、架台を弾性支持することによって伝達力を1/4にし、機械の変位振幅を0.1mmに抑えたい。この系に関し、①系の最低次の固有振動数、②コンクリート架台の質量、③弾性支持材料の総バネ定数、を求めよ。ただし、系の減衰は無視する。
①
- 3.5Hz
- 4.5Hz
- 5.5Hz
- 6.5Hz
- 7.5Hz
②
- 300kg
- 200kg
- 150kg
- 120kg
- 100kg
③
- 50kN/m
- 100kN/m
- 150kN/m
- 200kN/m
- 300kN/m
正解
正解①:2
正解②:4
正解③:3
解説:加振周波数をf(=600/60=10[Hz]),固有振動数をfnとすると,力の伝達率は1/{(f/fn)^2-1} =1/4であるから,fn=10/√(4+1)=0.45[Hz].変位振幅をx,加振力をF,ばね定数をkとすると,x=(F/k)/{(f/fn)^2-1}から,k=(F/x/{(f/fn)^2-1}=60/(0.1×0.001)/4=150×1000[N/m]=150[kN/m].総質量をmとすると固有振動数はfn=1/(2π)×√(k/m)から,m=k/(2π×fn)^2=150×1000/(2π×4.5)^2=190[kg].機械の質量が70[kg]であるから,コンクリート架台の質量は190-70=120[kg].
正解②:4
正解③:3
解説:加振周波数をf(=600/60=10[Hz]),固有振動数をfnとすると,力の伝達率は1/{(f/fn)^2-1} =1/4であるから,fn=10/√(4+1)=0.45[Hz].変位振幅をx,加振力をF,ばね定数をkとすると,x=(F/k)/{(f/fn)^2-1}から,k=(F/x/{(f/fn)^2-1}=60/(0.1×0.001)/4=150×1000[N/m]=150[kN/m].総質量をmとすると固有振動数はfn=1/(2π)×√(k/m)から,m=k/(2π×fn)^2=150×1000/(2π×4.5)^2=190[kg].機械の質量が70[kg]であるから,コンクリート架台の質量は190-70=120[kg].
問題8
ISO20816-1:2016(旧規格はISO7919-1およびISO10816-1)について述べてある①~⑤の記述の正,誤を判断した適切な組合せを選べ.
①機械の非回転部,あるいは回転軸における振動の測定と評価に関する一般的な条件と手順が述べられている.
②評価基準は、機械自身によって生じる振動に関するものおよび外部から伝達される振動に関するものである.
③ねじり振動の評価基準については述べられていない.
④「振動の大きさ」、「振動の変化」の2種類の評価基準がある.
⑤振動の平均値を用いて,4つのゾーン(A,B,C,D)で評価する.
- ① ② ③ ④ ⑤
- 正 正 正 正 正
- 誤 正 誤 誤 誤
- 正 誤 正 正 正
- 正 誤 誤 正 正
- 正 誤 正 正 誤
正解
正解:5
解説:外部から伝達される振動に関するものではない.また,振動の平均値は使用しない.
解説:外部から伝達される振動に関するものではない.また,振動の平均値は使用しない.
問題9
図はモータとポンプの各軸受台①~④の振動スペクトルである.振動が大きい場合に,これらのスペクトルから読み取れる原因を推定せよ.
- モータとポンプ間のミスアライメント
- モータケーシングのゆがみ
- モータのふつりあい
- モータ軸の曲がり
- モータ回転子の異常
正解
正解:1
解説:カップリング付近で回転2次成分が卓越しており,ミスアライメントが発生している.
解説:カップリング付近で回転2次成分が卓越しており,ミスアライメントが発生している.
問題10
図のように遠心ポンプによりタンクに水が注入されている。ポンプの羽通過周波数により配管内に約100Hzの脈動が発生した。この振動を低減させるためのアキュムレータ設置場所は、どこか.
- A
- B
- C
- D
- どれでもない
正解
正解:3
解説:水の音速vは1400[m/s]程度,脈動周波数fは100[Hz]であるから,波長λはv/f =1400/100=14[m].遠心ポンプの音響条件は開放であるから,全管路長14[m]が波長と一致して共鳴が発生している.圧力の腹は両端から1/4波長(14/4=3.5[m])の所であるから,Cにアキュムレータを設置するのが良い.
解説:水の音速vは1400[m/s]程度,脈動周波数fは100[Hz]であるから,波長λはv/f =1400/100=14[m].遠心ポンプの音響条件は開放であるから,全管路長14[m]が波長と一致して共鳴が発生している.圧力の腹は両端から1/4波長(14/4=3.5[m])の所であるから,Cにアキュムレータを設置するのが良い.