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No.09-25講習会「食品機械におけ_る衛生安全と機会安全の課題」
2009年6月19日 09:30 - 17:00
開催報告
1.「機械類の安全性に関する規格の概要と新潮流」
NPO法人 安全工学研究所 加部隆史 氏
労働死亡災害の約1/3,年間約500人が機械による挟まれ,巻き込まれで死亡しているにも関わらず,機械安全は野放しに等しいとのことである。
シュレッダーによる幼児の指切断事故を例に予見可能性(=リスクアセスメント)と結果回避可能性(=リスク低減)について解説された後,機械安全の規格から見たRBA(リスクベースドアプローチ)と設計プロセスとの関連,ARR(適切に低減されたリスク)の考え方に基づく技術的,経済的に合理的な代替設計が無いこと(RAD)とその証拠書類を整えることの重要性について説明された。また,安全装置無効化の問題から,人と機械の協働を可能とするバーチャルフェンスとそのために必要な安全ドライブシステムの紹介があった。
2.「食品機械の洗浄の死角とその実例」
NPO法人食品サニタリ技術協会 今道純利氏
食品機械には安全と機能の要素に加えて衛生の要素が求められる。食品機械の衛生性とは食品に接触する面を無菌、無塵埃、異物等の ない状態に保つ事であり、洗浄及び殺菌によって達成される。
しかしながら衛生性を阻害する問題点が発生する場合がある。その問題点は機械設備の計画・設計時、製作・設置時、運用・保守時の各段階で発生する。これらの問題点について、洗浄用スプレイボール、シール部、エア溜りの発生などを例にして洗浄の死角の具体例と対策についての解説があった。
3.「手洗浄が必要な設備の洗浄性改善の課題」
味の素エンジニアリング株式会社佐田守弘氏
機械安全と共に衛生安全が求められる事が食品機械の特徴である。衛生安全の危害には微生物的危害と異物危害があるが全者の方が影響が大きい。そしてこの紀伊を取り除くものが設備洗浄である。洗浄方法にはCIPとCOPがあるが、食品メーカの数で見れば、分解手洗浄を必要とする設備の方が圧倒的に多い。 分解洗浄を前提として作られた設備は、単にCIP設備の導入だけでCIPを行う事はできない。それはCIPの条件が成立しないからである。
しかしながら分解洗浄は省力的ではない。従来の手法によるCIPが困難な設備にあって、いかに洗浄を効率的に行うかは、今後の課題 であるが、その考え方の例と解説があった。
4.「衛生設計の具体事例」
日揮株式会社 田中 太氏
食品製造設備と医薬品製造設備の対比から始まり,品質確保の科学的なバリデーション導入を義務付けた GMP(Good Manufacturing Practice)について,汚染防止の考え方,そして,汚染防止の衛生設計 について説明された。汚染の発生源としては,外来性,内来性があり,衛生設計としては,汚染の直接発生の防止,蓄積による汚染の防止,除去処理不良による汚染の防止が重要とのことである。洗浄に対する衛生設計については,化学的,物理的な洗浄エネルギを利用し,マクロ,ミクロのデッドスペースへの配慮の必要性が示された。バリデーションに関しては,DQ(設計検証),IQ(据付時的確性確認),OQ(運転時的確性),PQ(稼働性能的確性)の各段階について説明 され,衛生設計の規格の動向が紹介された。最後に医薬品産業のリスクマネジメントの導入と国際調和,医薬品製造施設,設備のリスクマネジメントについてガイドラインの解説があった。