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産業・化学機械と安全部門

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No.02-39 講習会「リスクアナリシスに基づくプラント・機械の安全・保守  報告」

2002年6月5日 09:45 - 2002年6月6日 17:00

開催報告

1.「機械安全のグローバル化と第三者認証について」

北九州市立大学 教授 国際環境工学部 杉本 旭 氏

安全確保の具体的方策を定める共通の原理として国際規格ISO/CD12100(機械類の安全性:基本的概念,設計の為の一般原理)が21世紀 早々に正式決定される。この規格はリスク低減の標準的な方法を規定し,それに従って災害防止を行った場合であれば,たとえ災害を 生じたとしてもPL(製造物責任)に基づく責任から救済されるべきだ  とするPLP(製造物責任予防)の考え方を採用している。 これまで作業者に委ねて きた災害防止を,可能な限り安全設計で実現し,その限界をユーザーに認めてもらう  という危険の公平分担 の原理は,安全の公平な判断を保証する為に必要な基本的な原理・原則である。

2.[国際規格ISO12100に基づくリスク低減のための機械設計」

産業安全研究所 機器システム安全グループ 斉藤 剛 氏

設計製造者が災害防止に果たすべき責任に言及している,機械類の安全性-基本概念,設計のための一般原則(ISO 12100) についての 基本的考え方を説明し,その中の リスク低減プロセスのうち,設計者のためにリスクアセスメントとリスク低減方策を  組合せ安全設計 手順について事例を紹介しながら詳細に説明し,リスクが適切に低減 されたことを判断する基準を紹介した。

3.「ロボットの安全規格の動向とリスク低減の実際」

群馬大学 講師 工学部機械システム工学科 安藤 嘉則 氏

産業用ロボットの安全規格は,同ロボットの規格のみならず,その構成要素やロボットを含むシステムを対象にしたものがあり, 国内外(特に米国,欧州諸国)の関連 規格と特徴にふれた。また,ISO規格は基本安全規格(TYPE A),物理規格・安全関連設備規格 8TYPE B),個別安全規格(TYPE C)の3段階から構成され,それらの規格概 要説明がなされた。ロボットシステムの安全化と リスクアセスメントについて解説し, 安全防護の具体策と事故事例からみるリスク低減について説明がなされた。 今後より効果的な安全対策・安全機器の開発が求められ,そのキーポイントはソフトウエアによる安全の確保と関連する ティーチングペンダント等のワイヤレス化との指摘がなされた。

4.「機械安全へのユーザーとしての取組みと課題」

トヨタ自動車㈱安全衛生推進部安全衛生室 星野 晴康 氏

国内外の自社生産設備の安全について,隔離,停止,停止の維持と安全な起動手段の4つの観点からの基本基準の制定と運用, 安全装置の機能保証について紹介の後, 危険源そのものの大きさと危険源に曝される機会の低減と考えた本質安全化による, 低推力機器の開発導入・機械設備のシンプル化の効用を述べ,安全性の大幅な向上と  共に新設の場合,スペース,エネルギ使用量, 設備投資額等の半減事例,並びに,欧 米工場での展開事例とモノづくり企業にとって示唆多き紹介があった。

5.「リスクベースドマネージメント工学の基礎」

東京工業大学教授 大学院理工学研究科 機械物理工学専攻 小林 英夫 氏

一般に「安全性は100%保証されなければならない」と考えられがちだが,絶対に故障しない機械を作る事は不可能である。機械は故障する事を前提とし,その確立をリスクとして捉らえる。そしてリスクをいかに管理するかが,リスクベースの工学である。これは,設計,製造,メンテナンスの分野に応用ができる。このうちの検査についていえば,リスクを発生確率と影響度で評価し,どの部分についてどの様な方法で検査管理するのが良いかを決める事ができる。

6.「リスクアナリシスに基づくライフサイクルコストの評価」

東洋エンジニアリング㈱ビジネス開発グループ 川内 陽志生 氏

検査やメンテナンスを行う場合,コストを無視して行う事はできない。ライフサイクルコストとは,機械の発案から製造,メンテナンス,廃棄にいたる費用を意味する。  ライフサイクルコストを評価する事により,考えうるいくつかの対策案がある時に,どの方法を採用する事が,有利であるかを決める事ができる。この講演では,ライフサイクルコストを評価する手法について,実際の例をあげながら,評価の方法の概要についての紹介が行われた。

7.「RBIによる設備稼働率の向上とメインテナンスコストの削減の実例」

石川島播磨重工業㈱基礎技術研究所 木原 重光 氏

RBI(Risk Based Inspection)/RBM(Risk Based Maintenance) とは,設備,機器プラントの各部位のリスクを評価して,全部位でリスクが一定レベル以下になるようにメンテナンスを行う方法である。それにより,リスクが高い部位の検査とメンテナン  スを重点的に実施することにより,設備の稼働率を向上させて,かつ検査やメンテナンスコストを低減出来る,としている。具体的な事例として,発電用ボイラを対象としたリスク評価方法について,リスク評価用目録の作成,寿命評価の紹介が行われた。

8.「API 579による機器の安全性評価」

(社)日本高圧力技術協会 特別研究員 田原 隆康 氏

圧力設備の経済性および信頼性向上を目的として,傷又は損傷を含む供用中機器部材の定量的な評価方法がAPI 規格として制定された。そのAPI規格による,供用適 性評価,減肉評価,亀裂状きず評価,脆性破壊評価の方法ついて,具体的にそれらの  手法の紹介と評価手順の説明が行われた。また,API 579規格の最近の動向について紹介が行われた。

詳細

開始:
2002年6月5日 09:45
終了:
2002年6月6日 17:00
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