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産業・化学機械と安全部門

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健康を支える食品と安全

2006年9月18日

開催報告

1.基調講演:産業・化学機械と安全部門としての取り組み

産業・化学機械のと安全部門 部門長 大原良友 氏

産業・化学機械のと安全部門 部門長 大原良友 氏

部門長の大原良友氏より、まず一般的に言われている安全・安心を考えるにあたり、虎と美女を用いた分かりやすい例示によって、 リスクと利便の両面を見る必要があることの説明があった。実社会において完全なものはなく、如何にグレーゾーンにあるものを 見分けるかの重要性が力説された。機械技術者は安全であることを証明し伝える責務があり、消費者は選択に必要な知識を得るため に食の安全の問題に関心を持たなければならず、これこそが本フォーラムの目的であることが述べられた。


2.「食の安心・安全と機械」

東京農工大学教授 工藤信之 氏

東京農工大学教授 工藤信之 氏続いて前部門長の工藤信之氏より、食品の製造から販売店に並ぶまで、どのような安全対策がとられるか、また機械が具体的に食品の安全 にどのように関係しているかの説明があった。 無人化された衛生的な製造システム、異物混入検査システム、搬送工程を含んだ温度管理システムなど一貫した管理システム により安全を確保できることが述べられた。しかし安全・安心に対する最も重要なことは、機械を用いた品質管理技術に増して、 管理・運用する人間の意識の問題であることが、「産地偽証のみかん」を例に説明され、身近な問題であることを実感させられた。


3.「サントリー製造現場での食の安全について」

九州サントリーテクノプロダクツ社長 福澤健治氏

九州サントリーテクノプロダクツ社長 福澤健治氏熊本県における大手食品製造会社である九州サントリーテクノプロダクツ社長の福澤健治氏により、飲料食品の製造における最先端の 管理技術に関する紹介があった。特に異物混入に関しては、外部からの進入防止、発生防止に加えモニタリング、トレース、監査と 徹底的な防止対策がとられており、建物の構造の工夫、周囲環境の整備、細かなゾーニング管理、ファイナルフィルターの導入、 各所に設置されたセンサによる監視、2次元バーコードによるロット管理、統合DBの構築などの高度技術の導入に加え、持込品の規制や 事務用品の取捨など人的なミスに対しても考慮した総合的な対策がとられていた。


4.「健康食品としての海藻と水産環境」

熊本大学 浅川牧夫氏

熊本大学 浅川牧夫氏食品の安全・安心な生産システムという見地から熊本大学の浅川牧夫氏より、健康に対する多糖類食品の有効性とこれらを産する 環境保全の重要性についての講演があった。水産資源、特に海藻には、多糖類が豊富に含まれており、食物繊維として、また免疫力 の活性化物質として、近年増加している生活習慣病には非常に効果的であり、海藻の持つこれらの可能性を実現化する機械を含めた 食品化技術に期待したいという話があった。安全・安心であるためには、まず素材自体の質を継続して守る必要があり、海と陸との 循環物質を考えた自然の生産システムが提案された。


5.「食品製造の安全を支えるサニタリ技術と設備の動向」

味の素(株)生産技術開発センター 佐田守弘氏

味の素(株)生産技術開発センター 佐田守弘氏最後の講演として、味の素の佐田守弘氏より、食品製造における「洗浄する」、「汚れ」とは何かを基本的なところから考え、 食品製造設備の要件および規格を確立させる重要性が述べられた。食品2000年問題として数々の事故が発生したが、その一つの要因 は設備衛生の不備から生じており、安全な食品を作るためには、製造設備の大切さに目を向けると共に、「清浄」に対するあいまいさを 排除することが必要で、基準を明確にすべきとの主張がなされた。HACCPに加え製造機械やプラントの設計管理基準作りが必要で、EHEDGの 趣旨および日本における取り組みについての紹介があった。


6.「パネルディスカッション」

4人の講師と熊本県の環境生活部・食の安全・消費生活課の泉野和範氏、熊本市消費者協会の田中三恵子氏を加えたパネリストによる ディスカッションが行われた。九州サントリーの福澤氏は、台風被害の処理のため講演後帰社された。 泉野氏より熊本県の施策について、農作物の安全に力を入れており、特に400種類以上の食品に対して検査体制を引くなど全国トップクラスの 安全対策を講じているとの説明、田中氏より消費者協会として、BSE発生時の消費者の意識調査を迅速に行うなど、消費者の声を聞き、 消費者への情報提供を行っている旨の説明がなされた。 食品機械メーカーに対し安全・安心に関する情報提供が欲しいとの要求に対し、パネリストよりメーカーとして説明の準備は十分に 整えているとの返答があった。またISOで規定されているトレーサビリティについて説明がなされた。フォーラム参加者からは食品の 成分等についてわからないという不安、外国産の輸入食品に対する不安、食品を産する環境への不安の声が出された。 これらに対し、パネリストより安心については直接提供できるものではなく、消費者に感じてもらうまで安全に対する信頼を積み重 ねることによって得られるものであるということ、外国産については現在脅威が残っているものの食品衛生法の改正により薬剤に対する 基準が厳しくなりある程度解決できるのではないかということ、環境については改善、保守るためには長い時間がかかり多方面の協力が 必要であるが少しずつ活動は進んでいることが説明された。

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日付:
2006年9月18日
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