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産業・化学機械と安全部門

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健康を支える食品と安全~安全・安心な食品をつくる機械とシステム~

2004年9月7日 13:00 - 16:45

開催報告

開催挨拶:フォーラム開催の主旨と挨拶

産業・化学機械と安全部門 部門長 (株)三菱総合研究所 坂 清次 氏

一般市民の関心事項は,安全・健康・環境・福祉である.その中で,食の安全に関する関心の高さを最近の新聞記事を例に取り説明される. 日本機械学会の倫理規定では安全・健康・環境・福祉を大切にし,社会に貢献することをうたっていることを述べられ,日本機械学会が 行う本フォーラムの意義を説明される.安全・環境への影響を定量化する一つの指標としてリスクの概念および安全の定義(受け入れ 不可能なリスクがないこと)を述べられ,本日は食の安全・リスクを考える場とするとともに,食の安全を考える材料を提供したいと 挨拶された.


2.「新製品(食品)開発と安全性」

酪農学園大学教授 本多 芳彦 氏

食品業界は,飽和市場となり構造変化の時代を迎えている.とりわけ新製品開発が企業戦略にとって非常に重要となっている. 食品業界の動向や現状を説明されるとともに新食品開発のプロセスを述べられた.次に食品の安全性に関して,すぐれた食品とは安全性, 嗜好性,栄養性,便利性,貯蔵性,経済性,健康性を備えたものであり,安全性確保の要因として,原材料の由来,加工環境,加工条件, 製造装置があると説明される.製造プロセスでは洗浄の容易性,材質,流通環境,保管環境,包装材料,またそれに係わる人的要因が 安全性確保に重要となる.また,食品添加物は加工食品に必須であり,食品添加物に関する一般市民の意識,食品企業が加工食品を生産 する上での一連の製造プロセスにおけるルールについて解説される.最後に食品開発者は内部圧力や外部圧力に屈することなく安全を 第一に食品開発に従事する必要があると述べられた.


3.「HACCP(危害分析重要管理点)を使えば食品は安全になる」

北海道大学大学院教授 浅野 行蔵 氏

北海道大学大学院教授 浅野 行蔵 氏まずHACCP(危害分析重要管理点)の概要および七基本原則について説明される.企業においてHACCPに対する誤解があり,HACCPを実践する 上での難しさとポイントを話される.また食品製造プロセスの品質検査に関して,従来の検査法による品質検査の難しさを述べられる. 特に食品では食品そのものを全て検査できないところが難しいところであり,HACCPではCCPがしっかりしていれば安全性を確保できる. また,中小企業こそHACCP(危害分析重要管理点)を導入するべきであると述べられる.実際の食品製造現場における例を挙げ,HACCPに 基づいて全数検査なしに安全確保するためのプロセス・コントロールについて解説される.特に何が目的で何が重要かを考えることが 重要である.最後に札幌市衛生管理認定制度を説明される.「HACCPを厳格に実践する制度であること」と「民間企業による衛生管理 ネットワーク協議会を通して指導と認定作業を行うこと」において同制度は全国でも珍しい制度であると解説される.


4.「食品におけるトレーサビリティ」

酪農学園大学教授 鈴木 忠敏 氏

O157食中毒事故や,黄色ブドウ球菌,ダイオキシン問題,残留農薬,BSE,鳥インフルエンザ,食品偽装等で国民の食品の安全行政に対する 信頼は大きく低下し,生産段階からの安全確保が求められていると説明される. 食の安全性にはリスクが残ると言うことを認識する必要があると述べられる.次にトレーサビリティシステムについて解説される. 日本では牛肉トレーサビリティ制度があり,農水省で行っているトレーサビリティシステムには法制度はなく自主的な取り組みに対する 支援であると説明された.また,業界団体ごとに色々なトレーサビリティの方法があることを述べられる. 国,都道府県,地域,企業,店によって様々なトレーサビリティシステムがり,取り組みは全く異なる.具体例として企業の取り組みを 紹介されるとともに,問題点を指摘された.最後に情報記録・追跡手段としてバーコードが一番ポピュラーとなっているが, 今後はユピキタス環境の利用に将来性があると述べられた.


5.「パネルディスカッション」

パネルディスカッションに入る前に,雪印乳業(株) 岡田 佳男 氏より「新生・雪印乳業」の取り組みと題した講演が行われた. 以下,講演要旨を記す.
雪印乳業は,現在再建に取り組んでいるところであり,その取り組みを説明することで,食品の安全,安心,信頼で役に立てればと思うと 述べられる.過去二度の不祥事(食中毒事件,牛肉偽装事件の概要)および社内の取り組みを説明される.雪印乳業の存在意義を持って 再建するために,全社員の意志や社外の意見も取り入れて企業理念・行動基準を作成したことについて話される. また,企業倫理の取り組み.社内風土改革・リスクマネージメントの説明.危機管理体制の整備,社内外での意識調査結果,情報公開, 外部評価システム等について説明された.最後に,倫理安全を優先する企業姿勢を守り,コンプライアンスと品質を事業活動のベース として企業活動し,情報公開しながら信頼を得た安全と安心な製品を提供したいと述べられる.
坂部門長司会の元に,松井英美子氏より札幌消費者協会の取り組みについて,特に食品に関して紹介がある.引き続き本多芳彦氏, 浅野行蔵氏,鈴木忠敏氏よりご自身の講演や食品の安全に関する補足説明・補足コメントがあった.
次に会場を交えたディスカッションとなり,会場およびパネラーをまじえて「食品添加物の必要性」「農薬,有機栽培について」 「BSE問題」「遺伝子組み換え農産物」「食品での表示ラベルについて」「原材料の産地表示について」「トレーサビリティについて」 「雪印乳業における技術者の取り組みについて」「HACCPについて」の質問や解説,また意見交換が活発に行われた.

詳細

日付:
2004年9月7日
時間:
13:00 - 16:45
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