Menu

産業・化学機械と安全部門

イベントを読み込み中

« イベント一覧

  • このイベントは終了しました。

No.04-24 講習会「安全と環境を考慮した化学機械とプラントの設計と保全-産業機械と化学機械におけるHSE-」

2004年6月10日 09:45 - 2004年6月11日 17:00

開催報告

1.「いま、なぜ安全・環境なのか-社会の要請と新しい視点」

(株)三菱総合研究所 坂 清次 氏

安全、環境に対する学会の動き、産業界の動き、規格の流れについて説明。機械学会は倫理規定の中で安全と環境への配慮をうたい、日本経団連も改訂企業行動憲章の中で安全・環境の価値を重視している。安全・環境への影響を定量化する一つの指標としてリスクの概念が用いられ、国際規格で規定されてきた。リスクはゼロか100かのデジタル的なものではなく受け入れ可能なレベルか否かというアナログ的な扱いがなされる。これからの技術者は自らの仕事の影響範囲の大きさ、責任の重さを認識して業務に精進する必要があること が述べられた。


2.「産業化学機械の防食対策」

すずき技術士事務所 鈴木紹夫 氏

危険物質を内包する化学装置の防食設計の基礎と事故事例に基づく防食対策の考慮点が講演された。防食設計はその考慮するフェーズを材料の選定フェーズ、設計フェーズ、機器製作フェーズ、操業フェーズと分け、各フェーズ毎に留意するポイントが分かりやすく解説された。また事故事例では海外化学プラントの爆発事故、国内石油精製プラントの気密試験中の破壊事故、国内食用油製造プラントでのPCB混入事故等が紹介され、事後事例のフィードバックとして防食設計の重要さが解説された。また講演全体を通じて、HSEのみならず品質保証(Quality)を加えたHSEQを満足することが技術者として重要であることが示された。


3.「産業化学設備の耐震設計」

千代田アドバンストソリューションズ(株) 建設技術ソリューションユニットユニットマネージャー 大嶋昌巳 氏

地震国である日本の産業化学設備にとって耐震設計は避けることの出来ない重要な問題である。その耐震設計の基本概念、重要度分類の考え方、地震荷重の考え方等を貴重な実例写真と図解を交えながらかりやすく講義していただいた。さらに、これまでの日本の地震の歴史と、化学プラントの耐震設計関連基準・指針の変遷の説明があり、現行高圧ガス設備等耐震設計基準の概要と今後の展望について、それらの技術背景を含めて解説がなされた。産業化学設備を設計する立場の人間として、地震リスクの管理という考え方に基づく耐震対策 を、その動向に関して注意をはらいながら遂行していかなければならないと感じた。


4.「実例に見る予防保全(PM)ヘの取組み方」

出光興産(株)工務部設備管理センター 主任部員 八重樫 彰 氏

石油精製および石油化学プラントの現場では、連続運転期間の延長に伴い予防保全(PM)が重要な要素となっており、その予防保全に関して、基本的な考え方とその位置付けについて講義がなされた。さらには機器の種類ごとの予防保全に関して、現場の実例を紹介しながら具体的に説明があり、興味深いものであった。現在の日本がおかれている”安全を確保するとともに保全コスト削減さらには保全技術者の低減という厳しい状況”の中で、実際の現場では、どのように予防保全(PM)に取り組んでいるか、また今後、どのような 課題があるのかを認識することのできる貴重な講演であった。


5.「産業化学機械の騒音対策」

東洋エンジニアリング(株) 応用解析グループ 平井正史 氏

産業機械と化学機械におけるHSEとって切っても切り離せない騒音問題に関して、騒音の基本的概念、騒音法規の概要から始まり、さらには騒音制御に関しての講義がなされた。特に講演者の豊富な実務経験から、騒音制御には、”機器単体の騒音対策”と”機器の複合体であるPLANTの騒音対策”の両面から検討することの重要性について詳細に説明がなされた。また、いかに設計段階で騒音対策を行うことが経済面からだけでなく操作性、安全性の面からも有効であること、さらには海外の騒音制御の動向に関しても解説がなされた。


6.「リスクベース設計の基礎とその実例」

東京工業大学 大学院教授 小林英男 氏

東京工業大学 大学院教授 小林英男 氏

我々の社会は、リスクを配分し受容するリスク社会に変わりつつあり、リスクの供給元とみなされている技術社会に対しての不信感を払拭する取り組みが必要とされている。この講義では、リスクの本質についてわかりやすく説明された後、リスクベース工学という考えをリスクベース設計とリスクベースメンテナンスを中心に事例を交えて解説が行なわれた。リスクベース設計の例として、フェールセーフ設計とクラックセーフ設計を故障確率と影響度を考慮して使い分けている飛行機の損傷許容設計を取り上げた。


7.「プロセス安全設計の基礎」

東洋エンジニアリング(株) 応用解析グループ 角田 浩 氏

東洋エンジニアリング(株) 応用解析グループ 角田 浩 氏
従来型の安全の作りこみでは、90数%程度までが対応の限界である。そこで、HAZOP等による安全設計の検証が望まれている。
本講義では、プロセスの代表例として化学プラントを取り上げ、安全設計の基本的な考え方から始まり、「プロセス安全」
を展開して事故の予防・抑制について、「外部防御」を展開して被害の局所化について解説された後、リスクに基づいた安全設計の 取り組みの中で、HAZOP等の事例を紹介された。


8.「機能安全規格とその動向」

(株)東芝 電力・社会システム社 情報制御事業推進室 田辺安雄 氏

(株)東芝 電力・社会システム社 情報制御事業推進室 田辺安雄 氏

石油精製および石油化学プラントの現場では、連続運転期間の延長に伴い予防保全(PM)が重要な要素となっており、その予防保全に関して、基本的な考え方とその位置付けについて講義がなされた。さらには機器の種類ごとの予防保全に関して、現場の実例を紹介しながら具体的に説明があり、興味深いものであった。現在の日本がおかれている”安全を確保するとともに保全コスト削減さらには保全技術者の低減という厳しい状況”の中で、実際の現場では、どのように予防保全(PM)に取り組んでいるか、また今後、どのような課題があるのかを認識することのできる貴重な講演であった。


9.「リスクの社会的需要のための課題とその解決方法 ~電磁界リスクを例に~」

インターリスク総研 三島和子 氏

インターリスク総研 三島和子 氏

世の中に絶対の安全は存在せず、リスクとベネフィットとのバランスで考える必要がある。一般に疾病による死亡率10^-2から
自然災害による死亡率10^-6の間がリスクとベネフィットのバランスで受容可能性が変動する範囲とされる。
人間のリスクイメージには「恐ろしさ」と「未知性」の2つの要素から構成される。特に電磁界の様な目に見えない、過去に経験がないものに対しては大きなリスクのイメージを生じやすい。またリスクレベルの認識は、専門家と一般仁との間で大きな乖離が見られるケースも少なくない。リスクを正しく理解してもらい、社会的受容性を得るには、リスクコミュニケーションが 必要であるが、方法を誤ると却って不安を増大させてしまう場合も少なくない。

 

詳細

開始:
2004年6月10日 09:45
終了:
2004年6月11日 17:00
イベントカテゴリー: