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産業・化学機械と安全部門

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No.03-41 講習会「安全で安心できる食品を作るための食品製造設備とプラント」

2003年6月5日 09:45 - 2003年6月6日 17:00

開催報告

1.「異物選別装置とその機構および特徴」

食品コンサルタント(元味の素(株)) 井上富士男 氏

安全で安心な食品には、異物選別が欠かせない。この講義では、米の選別工程の中で使われている各種の選別方式と選別除去装置、および検査装置についての解説が行われた。従来から行われていた籾や玄米の選別機では、挟雑物の除去に限界がある。1粒子ずつ選別する新しい選別機により、正常粒の異物側への漏出も防止でき、トータルとしてのメリットも見られる。また昨今、虫の混入が問題になっているが、装置内の糠などの残留がその原因になっている。残留のない設備の構造が防止のポイントになる。

2.「微生物汚染源を防止するための装置面での考え方」

大成ラミック株式会社 常務取締役 R&D本部長 二瀬 克規 氏

食中毒の原因となる微生物が増殖するには種菌、栄養分、水分、適切な温度が必要で、これのいずれかを断てば微生物の増殖を防止できる。
食品の製造設備が多機能化する中で、洗浄しにくい構造が増え、また長時間の連続生産によって設備に由来する微生物トラブルが生じている。また分解洗浄が可能な設備でも、その箇所が多いと実際には分解洗浄が頻繁には行われないケースも少なくない。講義の中では微生物汚染源となりやすい装置の構造とその改善方法について具体的な説明がなされ、また洗浄しにくい箇所の微生物汚染対策の方法として、95%以上のアルコールを用いて水と置換し、乾燥によって微生物増殖を防止する手法などの説明が行われた。

3.「食品製造プロセスにおける汚れの付着現象と高度洗浄」

岡山大学工学部 生物機能工学科 教授 中西一弘 氏

汚れの付着と洗浄は、基礎的な立場に立つと速度過程、平衡論、分子間相互作用、化学反応などが複雑に絡み合った境界領域の課題として捉えることができる。 それらについて、分子レベルで解析し、汚れの付着の制御と効率的な洗浄技術の最新技術について、図解を含めてわかりやすく解説が行われた。特に高度洗浄として、OHラジカルによるUV/過酸化水素洗浄、講演者らが考案したH2O2-電気分解洗浄などが紹介され、大変興味深いものであった。

4.「破損による異物混入を防止するためのポイント」

工学博士(元味の素(株)勤務) 鈴木紹夫 氏

講演者による長年の実務経験によって培われた食品製造プラントにおける損傷、破損による異物汚染物質などの混入防止ポイントについて、技術的、さらに経済的観点から貴重な説明がなされた。特に食品製造の分野では欠くことのできない、ステンレスの腐食(粒界腐食、孔食、、応力腐食割れ、すきま腐食など)のメカニズムや防食手段の選定について実務的な見地より解説がなされた。

5.「温度変化が食品の品質に与える影響について」

財団法人日本冷凍食品協会 検査事業本部部長 新宮和裕 氏

冷凍食品の品質と食品のトレーサビリティの2つのテーマについての講演がなされた。冷凍食品の品質では凍結速度が重要であり、急速凍結と緩慢凍結を比べた場合、急速凍結の方が貯蔵期間を延ばしても食感の劣化は少ない。理由は急速冷凍では氷結晶が小さく細胞破壊が少ないからである。冷凍食品は輸送中における温度変化の影響を受け品質劣化が起こるため流通における温度管理が大変重要である。食品のトレーサビリティについては欧州、米国、そして日本の最新の動向について解説があった。

6.「冷凍流通と保存設備の温度制御技術について」

(株)前川製作所 総合プロジェクト企画室 伊藤一郎 氏

冷凍食品の製造過程及び輸送過程における温度管理について解説があった。製造過程では具体的に加工米飯の製造工程フローを用いて説明があった。一般に製造ラインでは温度管理はきちんとなされるが、加工米飯では箱詰め後のケース積付けフェーズ、また冷凍マグロではセリ市場での陳列フェーズでの温度上昇を管理する必要があることが例示された。またトラックによる搬送中の温度変化のデータによると荷捌き時の温度上昇が大きく輸送過程における温度管理の困難さが指摘された。

7.「ヒューマンエラーの発生原因と防止システムについて」

電力中央研究所 ヒュ-マンファクタ-研究センタ- 上席研究員 高野研一 氏

最近の重大事故を見ると、共通の要因として組織要因の問題(例えば、安全体制の緩慢な後退、工程・手順管理の形骸化、工程優先の職場風土)があることが分かる。そこで、この組織要因を分析し、これが、重大事故だけではなく、職場で発生する労働災害や軽微な設備災害の発生にも関与している場合があることを示し、これらを防止するための考え方や戦略についての解説が行われた。
また、その実践的アプローチについても紹介があった。

8.「リスクマネジメントとしてのHACCP展開」

(株)ディ・エヌ・ビー・ファシリティーズ 代表取締役社長 大月弘行 氏

食品企業における安全の重要性について、そして、安全とリスクとの関係について企業としてどのように考えるべきかについて説明があった。
食品企業の場合はリスクマネジメント、特に、微生物学的なリスクアナリシスの手法を理解しておく必要がある。その一つの手法としてのHACCPについて、ISOとの関連とともに解説が行われた。また、リテール業(大量給食業)でHACCPを行った実例の紹介があった。

詳細

開始:
2003年6月5日 09:45
終了:
2003年6月6日 17:00
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