2000.8.25

岡山での出会いと発見を通して

(北海道学生会代表)

―第38回全国学生研修会に参加して―

 

 2000年8月2日〜4日にかけて、日本機械学会中国四国学生会を幹事とした全国学生研修会が開催された。北海道支部学生会の代表とし、私を含め4名の学生が期待とともに不安を抱え参加してきた。

 研修の一日目はJR岡山駅に集合し、駅から倉敷市へ行き、まず、古代オリエントの美術から現在作家の作品まで広範囲の作品に魅了された大原美術館を見学し、その後、美観地区の古い街並の伝統的な景観に圧倒されながら各支部の学生、先生方と交流を深めた。 宿舎場所である御津国際交流会館へ到着後、懇親会を行い更に全国の学生との交流を図った。

研修二日目は、最初に80年余りの歴史のある三井造船株式会社 玉野艦船工場を見学した。玉野艦船工場は、艦艇、巡視船、調査船、練習船等の官公庁船をはじめ、軽合金製高速船、商船、海洋機器、水中機器に至るまで、海に関するさまざまな製品の建造および修繕工事を行っているところである。工場での造船は、広い敷地を必要とするため、おもにバスで移動しながら車窓からの見学となり、場所によっては歩きながらの説明を受けるという形で見学を行った。ここで一番印象に残っているシーンは舶用エンジンの組立であった。エンジンの巨大さ、エンジンの駆動音などに驚かされたことはもちろんのこと、何より船のエンジンを受注した相手側の現場で使用されるクレーンに応じて搬送方法を変更させるという点で、分解された船のエンジンの状態が印象に残っている。

その後、瀬戸大橋近辺で昼食を取った後、川崎製鉄株式会社 水島製作所を見学した。水島製作所は、国内最大規模といわれる事業展開と有数の先端技術で、わが国の鉄鋼業をリードし続けており、連続亜鉛めっき製造設備や電磁鋼板製造設備を充実させ、製鉄・製鋼・圧延などさまざまな工程での連続化・同期化を実現させている。省エネルギーとコストダウンを追求し、川崎製鉄の主力製鉄所にふさわしい、世界最高水準の効率的な生産体型を確立し、多種多様な製品を世に送りつづけている工場で、東京ドーム250個分の広さのため、玉野艦船工場と同様な形式の見学となった。製鉄・製鋼・圧延・表面処理・出荷の一連した工程工場をバスの中から軽い説明で一通りの見学し、圧延の行われている工程では降車し実際の見学をした。ここで一番印象に残っているのは、圧延作業を実際に目にするのは初めということもあり、想像を超える熱さと音の発生する迫力ある場所であったことと、このわずかではあっても圧延を繰り返すことで、世界で一番薄い板を製造しているということであった。ただ、他の興味深かった行程については、時間の関係上見学できなかった点が残念であった。

 

 研修三日目は、最終日で岡山県の名所であり、金沢兼六園、水戸偕楽園とともに日本三名園とよばれる後楽園と岡山城を見学した。

ここは、13haの敷地に占める広大な芝と美しい岡山城が出迎えてくれ、曲水のある風景といわれているように、気分を落ち着かせてくれるすばらしい場所であった。

 こうして、長いようで短い研修会は、瞬く間に終了した。普段の生活では接することのできない他大学のエンジニアの卵との交流は、楽しい想い出になったことはいうまでもないが、より機械工学という学問の裾野の広さと、生涯の想い出に残るような強烈な場面、先端的専門的な話を伺う機会を設けてくださった日本機械学生会の方々と、貴重な時間にも関わらず、すばらしい工場を時間の許す限り見学をさせてくださった企業の方々には、今でも感謝の念が尽きないくらいの気持ちでいっぱいである。

最後に中国四国支部の学生会員の皆さんおよび先生方にこの場を借りまして、お礼を申し上げたいと思います。本当にありがとうございました。何時の日か、今回の研修会で集った皆様に会えることを期待してペンを置きます。

 

( 北海道工業大学 機械工学科3年 / 小川紋範 )