<企画:コンテスト>
このコンテストは,風のエネルギーだけで風上に走る模型自動車(ウインドカー)の,早さや障害物を乗り越えて進むことのアイデアを競うもので,小学生から一般まで83グループの参加を得た.はじめに行われた距離3mをいかに速く走るかを競うウインドカー・レーシング部門(図14)では,小学生の部と中高生の部に分かれて勝ち抜き戦でトーナメントの頂点を目指した.白熱した競技のなか優勝は,小学生の部は小林薫乃さん(土浦市立真鍋小学校6年)の作品(図15,自己ベストタイム4.25秒),中高生の部では澁谷雅芳君(茨城県立土浦工業高校3年)の作品(図16,自己ベストタイム3.29秒)であった.そのほかに準優勝,第3位ならびに特別賞の表彰がなされた.
ウインドカー・障害物部門では中学生以下のジュニアの部と高校生・一般の部が行われ,走路に並べられた3種類の障害物の走破とゴールを目指した.ジュニアの部では川村英彰君(小石川中等教育学校1年)の作品(図17),高校生・一般の部では長岡 卓君(秋田県立秋田工業高校)の堅実な走りにくわえて片輪走行でのゴールで会場を沸かせた作品(図18)が,それぞれアイデア大賞を受賞した.川村英彰君の作品は,サッカーボールをイメージした球状の樹脂製ワイヤーフレームを車輪として回転させる方式で,半数以上の作品が障害物途中で立ち往生してしまう中,その障害物をものともしないスムースな走りに会場がどよめいた.そのほかにアイデア賞,ベストデザイン賞,ユーモア賞ならびに特別賞の表彰がなされた.
<最後に>
来訪者の多くは小中学生連れのご家族であり,身近にある空気や水などの流れを利用した遊びや不思議な現象に触れて,これらの原理がどのように身近な技術から最先端技術までに応用されているか,次世代を担う子供たちに「流体力学って,おもしろい!」と思ってもらえたのであれば幸いである.
開催に際しては,文部科学省科学研究費研究成果公開促進費,流体工学部門特定事業資金,日本機械学会機械工学振興事業資金,神奈川工科大学からそれぞれ助成金をいただくとともに,神奈川県立青少年センターには共催ならびに会場提供をはじめ設営等の全面的な協力をいただいた.さらに,多くの機関・団体から後援・協賛をいただいた.また,日本機械学会2007年度神奈川ブロック企画「小中高生のための見学会:第13回流れのふしぎ展見学」も同時開催された. 末筆ながら,開催までの準備と会期中の運営に当たっては,委員と学生ならびに一般ボランティアの計52名もの献身的な協力に支えられたことと,多大なる助成,ご協力に深く感謝の意を表します. |