第85期環境工学部門長

大久保 雅章 大阪府立大学

環境工学部門2007 年度の活動の抱負

 このたび第85 期の部門長に就任いたしました。大学では機械工学分野のエネルギー・環境工学講座の所属で,プラズマや電力を利用した大気・水環境保全学を専門としております。部門の活性化のために活動したいと存じます。どうぞよろしくお願い申し上げます。

 ご承知のように環境工学は従来型の機械工学の枠組みに入りきらない総合的分野であります。そのた
め,機械学会の従来型の枠組みで教育研究を継続している大学等の会員においては,企業会員とは異なり,環境工学部門は第2志望,第3志望の登録者の方が多い傾向があります。しかしながら機械工学には,燃焼工学,熱工学,流体工学,機械力学など,人間や地球環境保全に寄与できる学問分野が存在しており,そこで培った手法を,環境技術の開発に生かし,第1志望として活動を行う研究者も徐々に増加する傾向にあります。

 一方,研究者にとって切実な問題である国費等の研究費申請においては,最近はIT,バイオ,ナノテクが重点分野としてもてはやされ,環境は,その次の重点分野に位置づけられているようです。これには日頃から不満を感じています。更には専門外の人と話してみると,環境工学の学理は既に解明済みではないかとまで言われます。これは主として企業の技術者の活躍による経済成長時代の環境保全技術(特に大気,水環境浄化技術)の顕著な成功による印象と思います。しかし未だ多くの学術的課題が山積しており,地球温暖化防止を初めとする環境学研究が人類にとって最重点分野であることを更に明快に主張すべきと考えます。

 具体的活動の面では,昨年度一年間,川本克也部門長の下で副部門長を務め,部門の活動の概要,抱える問題点,課題等の一端を把握しました。最も記憶に残っているのが部門評価です。環境工学部門は,産学,社会や他学会との連携に優れるなどの点での評価は高かったのですが,産学活動の具体性が薄い,国際交流活動が少ない,財政健全化の方策が少ない等の指摘を受けました。これらを受けて,産学交流,国際交流,講習会等の実施により一層重点をおいて活動を推進したいと考えております。既に,「プラズマ環境保全技術」に関する産学交流と学理形成を目的とした部門所属の新分科会,講習会,国際交流等を数名の委員のご協力により企画中です。また部門のWebの充実は言うまでもなく極めて重要な問題で,一層の充実を図る予定です。他部門でも行われているように研究室紹介のリンクを設置することも始めたいと考えます。国際交流の問題ですが,諸外国の機械学会に環境工学部門が設置されていない点や,本部門が対象とする幅広い分野をカバーした国際会議が存在しない等の困難もありますが,努力してまいります。なお部門活性化に関しては部門内に設置されている部門組織・企画委員会(佐藤春樹委員長)から貴重な意見を頂いており,それらを反映した活動を進めてまいります。

 さらに昨年度,部門英文ジャーナルJournal of Environment and Engineering の第1巻が丸田芳幸編集委員長の下で刊行されました。私も早速投稿し三ヶ月程で第一報が掲載されました。既に再録論文を含めて数十件の投稿があると伺っており,大きな反響があります。高いインパクトファクターを目標とすると発行趣旨に掲げられており,誠に将来が期待されます。その質の向上と育成に協力させて頂きたいと考えます。なお,企業の研究者も個人的業績を増加させるため是非研究成果を投稿下さい。

以上,部門委員ならびに会員諸氏の更なる積極的な係わりとご協力をお願い申し上げまして,私の部
門活動の抱負といたします。

また,現在企画されている講習会(受講者募集中)を一つ紹介しておきます。

 上記を含めて,部門行事の詳細については,ホームページ(http://www.jsme.or.jp/env/)に随時掲載します。

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