この度はフロンティア業績表彰をいただき,大変光栄に存じます.
今回,構造最適化の研究に関して表彰頂いた訳ですが,振り返ってみますと,私が構造最適化という研究テーマに巡り合ったのは2005年ですので,現在に続く研究生活は今年(2014年)で10年目という事になります.10年というと随分と長い時間のはずですが,あっという間に過ぎ去って行ったというのが実感です.その出発点は京都大学の西脇眞二先生との出会いであり,その出会いのきっかけが同じく京都大学の泉井一浩先生との他愛もないやりとりであった事を考えると,今回の受賞はまったく不思議な縁の産物であります.
西脇先生に構造最適化をテーマとして研究指導して頂いた当初は,ローム株式会社で一技術者としても働いており,企業の業務と博士課程の研究を同時進行でこなさねばならず,非常にタフな経験をしました.また,博士課程在籍中にローム株式会社から株式会社豊田中央研究所への転職も経験し,結果的に構造最適化との出会いが人生の大きな転換点となりました.その豊田中央研究所では,現在所長をつとめておられる菊池昇先生のご理解の下,川本敦史様,野村壮史様をはじめ,様々な方々に出会い,お互いに刺激しあいながら議論を重ね,研究を深めていくという幸運に恵まれました.その後,芝浦工業大学,大阪大学と研究の場を変えていくことになるのですが,豊田中央研究所時代に培った人脈は,いまだに私の大きな財産となって研究を支える力となっております.
豊田中央研究所在籍中に無事(?)博士号を取得した後,芝浦工業大学に転職し,その後,縁あって大阪大学に異動,藤田喜久雄先生のご理解の下,構造最適化の枠を超えて最適設計の研究に取り組み,現在に至ります.こうして振り返ってみると,10年でローム株式会社,株式会社豊田中央研究所,芝浦工業大学,大阪大学と,環境風土が全く異なる4つの職場を経験したことになり,そのいずれにおいても,様々な重要な出会いがありました.その全てが今回の表彰に繋がっていると感じる次第です.上にお名前を挙げさせて頂いた方々の他に,学士・修士・博士課程を通して研究を指導して頂いた京都大学の吉村允孝先生,豊田中央研究所で研究の場を提供して頂いた佐藤和夫様,芝浦工業大学時代に教育・研究の両面でご支援頂いた長谷川浩志先生,現在大阪大学で共に研究室の運営に携わっている野間口大先生,その他多くの先生方,関係する皆様にも深く感謝の意を表します.最後に常日頃から私を支えてくれる家族に感謝いたします.