2011年11月30日から12月2日までの3日間にわたり,京都にて7th International Symposium on Environmentally Conscious Design and Inverse Manufacturing (EcoDesign2011)が開催された.昨年3月11日に発生した震災とその後の福島原子力発電所の事故のために一時は開催が危ぶまれたものの,地球環境や社会のサステナビリティを考えることの意義がより高まったこともあってか,結果的には世界23カ国から339名の参加者が集い,過去最多の講演件数(239件)となった.
本シンポジウムは,設計工学システム部門を窓口として日本機械学会が加盟するエコデザイン学会連合と産業技術総合研究所の主催によるものである.第7回目となる今回は「持続可能社会に向けた価値イノベーションのためのデザイン」をテーマとして,「持続可能性とものづくり」に関わる様々な課題を領域横断的にカバーする形で基調講演やセッションが企画された.具体的には,以下に挙げるトピックに基づいた45のセッション(うち,オーガナイズドセッションが10)が組まれ,社会制度やエネルギーシステムの設計から個別製品やサービスの環境調和型設計の事例に至る様々なレベルの「エコデザイン」に関して多彩な議論が行われた.
環境問題のようなマルチスケールな課題に対峙するためには,個々の要素技術と社会全体の将来ビジョンを結びつけるメゾスコピックな視点が重要であり,本シンポジウムではこのようなメゾスケール領域の課題に焦点を当てたセッションが多く企画されていた点が新たな試みの一端ではないかと思われる.今や当たり前となった製品やサービスの環境調和型設計に加えて,新しい価値の創造やこれに関わるビジネス,ライフスタイル,社会制度の変革を引き起こし,環境負荷削減と価値イノベーションを両輪とした持続可能社会そのものを設計していくことが今後のエコデザインの重要なミッションであろう.
次回のシンポジウムであるEcoDesign2013は2013年12月頃に韓国で開催されることが決定している.また,本シンポジウムと協力関係にあるElectronics Goes Green 2012+が2012年9月にドイツ,ベルリンにおいて開催される予定である.
「Promotion of Energy Conservation and Eco-Design for Energy System」
「Panasonic's Environmental Vision and its Practices」
「New Trends in EcoDesign」
「Kone's Corporate Environmental Activities and Solutions that Contribute to Creating a Positive Impact on the Environment」
メイン会場の様子
セッションルームの様子