ページ製作・編集 D&S広報委員会,2010年10月発行
4th International Conference on DESIGN COMPUTING COGNITION (DCC’10 or DCC10)参加報告
(長谷川浩志(芝浦工業大学))
International Conference on DESIGN COMPUTING COGNITIONは,今回で4回目の2年に1回の国際会議である.デザイン領域に対する人工知能,認知科学,コンピュータ支援をベースにしたデザインを対象としたものである.第1回大会はMassachusetts Institute of Technology(アメリカ),第2回大会はTechnical University of Eindhoven(オランダ),第3回大会はGeorgia Institute of Technology(アメリカ),今回の第4回目大会DCC’10は,ドイツ,StuttgartのUniversity of Stuttgartにて開催された.
DCC’10は,Vinod Goel 教授(Professor of Cognitive Neuroscience, York University and University of Hull)による基調講演「The Brains of Designers」,研究発表(口頭発表とポスター発表),ワークショップで構成された.「The Brains of Designers」では,デザイナーが思考するときの脳内の活動状況の把握(MRIによる),それを踏まえた分析が発表された.大変興味深いもので,例えば,創造性のあるデザインを導き出すには,右脳部分の活性化を伴った思考が求められるということが結論の一つに挙げられていた.
DCC’10は,本分野では有名な会議で,今回の講演論文(口頭発表)の採択率も約30%というものであった.また,口頭発表については,講演論文を取りまとめたものがSpringerより出版される.
DCC’10のセッションは,「Design Cognition」,「Framework Model in Design」,「Design Creativity」,「Line,Plane,Shape,Space in Design」,「Decision-Making Processes in Design」,「Knowledge and Learning in Design」,「Using Design Cognition」,「Collaborative/Collective Design」,「Design Generation」の9セッションで構成され,シングルセッションで実施された.この発表では,セッション毎に採択された講演論文に対する発表,その質疑応答,さらに,そのセッションの発表者全員と会場間での20分間のディスカッションと大変有意義な国際会議であった.
また,我々が発表したDesign Creativityのセッションでは,@The curse of creativity(David Brown),AEnabling creativity through innovation challenges: The case of interactive lighting(Stefania Bandini and Giuseppe Vizzari),BFacetwise decomposition of modelling activities in the algorithm for inventive problem solving ARIZ and in evolutionary algorithms(Celine Conrardy, Roland De Guio and Bruno Zuber),CExploring multiple solutions and multiple analogies to support innovative design(Apeksha Gadwal and Julie Linsey),DCreative and inventive design support system: Systematic approach and evaluation using quality engineering(Hiroshi Hasegawa, Yuki Sonoda, Mika Tsukamoto and Yusuke Sato)の5件の発表があった.
デザインの創造性というテーマに対して,例えば,独創的なデザインをつくり出すために,デザインシステムのルーチンワークがどのように変更されてきているのかをMundane designとの比較を通じて議論し,また,TRIZベースの思考プロセスの考え方に対する議論などを,全体ディスカッションにて実施された.創造性についての様々な見方,知見が得られ,大変有意義であった.
DCC’10は,会議全体を通じて,ディスカッションの時間を十分すぎるほど確保し,各セッションの興味あるテーマに対して多数の研究者と有意義な議論ができる場である.是非,興味をもった方は,参加することをお勧めする国際会議であった.
口頭発表の風景1
口頭発表の風景2
ポスター発表の風景
コンファレンスディナーの風景,
ディナー会場(StuttgartのTV塔)
そのときの食べ物(BBQ)
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